Halloween





「今日ハロウィンなんだよ」
臨也がそう言うのに、静雄は見ていたテレビから顔を上げた。
「だからなんだよ」
静雄は興味をなくし、直ぐにテレビに視線を戻す。画面には静雄の大事な大事な弟が映し出されていた。
さっきから静雄はずっとテレビに釘付けで、臨也の方は見ようともしない。会話もおざなりだ。
まったく、失礼にもほどがある。ここは臨也の家だと言うのに。もっとも臨也の家のテレビがでかくて綺麗じゃなければ静雄はやって来ていないだろう。愛しい弟を大画面で見るために来てるに違いない。
「お菓子と悪戯どっちがいい?」
臨也はそんな静雄の後ろ姿を眺め、口端を吊り上げる。
「どっちもいらねえ」
対して静雄は素っ気ない。返事をしただけマシなのだけど。
「そう?某ケーキ屋のなめらかプリンがあるんだけどなあ。シズちゃんいらないの?じゃあ一人で食べることにしようかな」
臨也のこの言葉にぴくっと静雄は振り返る。
「プリン?」
「いらないんでしょ?」
臨也は意地悪な笑みを浮かべ、大袈裟に両手を上げる。残念だなあ!とまた声を上げた。
「……食う」
静雄はムスッとして臨也を見る。少し焦ってるように見えた。
テレビドラマはちょうどコマーシャルらしい。今のうちに決着をつけなくては、またテレビに夢中になってしまう。
「おいで、シズちゃん」
臨也は手招きして静雄を呼び寄せた。静雄は黙ってそれに従うが、警戒したように臨也を見ている。
腰に腕を回し、引き寄せた。びくん、と跳ねる静雄の体。
「プリンの前に悪戯させなよ」
そう耳元に囁いて、静雄の耳を口に含む。
「…Trick or Treatだろうが」
静雄は呆れたように言うが、耳は真っ赤だ。臨也の手が衣服のボタンを外してゆくのを黙って見ていた。
「両方してあげるよ」
臨也の唇が静雄の首筋に降り、静雄は体が震える。段々と強くなる愛撫に、臨也の体に手を回す。
臨也はそれに口端を歪めて笑い、後ろ手にそっとテレビを消した。


201010311811
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