K


ピッ。ピーッ。
何度目かのエラー音に、臨也は深く溜息を吐いた。
苛々と小さく舌打ちをする。臨也がこんな風に感情をあらわにするのは珍しい。
静雄はそれに気付き、読んでいた雑誌から顔を上げる。先程から臨也は何かパソコンで作業をしていて、どうやら上手く行っていないようだ。
静雄は雑誌を閉じるとソファから立ち上がった。
近付いてきた静雄に、臨也は訝しげな表情をする。静雄はそれを介することなく、ぽん、と臨也の頭に手を置いた。
「な、」
臨也が驚いて目を丸くする。
静雄はそのままよしよし、と言うように頭を撫でた。力を加減して、撫で撫でと優しく。
「し、シズちゃん…」
臨也は困ったような顔をして静雄を上目遣いに見る。
静雄はそれに首を傾げた。
「何だよ」
「どうしたの。頭撫でるなんて」
嬉しいけれど複雑だ。
臨也は僅かに苦笑して、頭を撫でる静雄の手を取った。
「お前が苛々してるから、」
静雄はキョトン、とした顔で首を傾げる。
「元気が出るかと思って」
「……」
臨也は黙り込み、静雄の手をぎゅっと握った。
「シズちゃんのお陰で回復したよ」
そう言って静雄の手の甲に口づける。ちゅっとリップ音を立てて。
静雄はそれに赤くなり、慌てて手を引っ込めた。臨也は口端を吊り上げ、そんな静雄を見上げる。
「でもこれじゃ足りないんだ」
「は?」
ぽかん、と口を開いた静雄の体を引き寄せて、臨也はあっという間に膝上で抱きしめる。
「俺を癒してよ、シズちゃん」
そのまま唇を重ねた。
唇を割り、中に舌を差し込んで、絡ませ合う。
性急過ぎる臨也のキスに、静雄は僅かに身を捩った。けれどその手に力は入らずに、臨也からは逃れられない。
唇を離し、臨也の手はそのまま静雄の衣服を剥いでゆく。
「…い…や、」
「だ。、じゃない」
否定の言葉を口にしようとする静雄を、臨也はまた唇で塞ぐ。
抱きしめられたまま腕を引かれ、静雄はソファへと押し倒された。
「家にシズちゃんがいるのいいなあ…」
「なに、が…だよ」
優しく静雄の体を撫でてゆく臨也に、静雄は頬を染めて睨みつける。
「同棲して良かったと思って」
シズちゃんが癒してくれるから。
臨也は笑って静雄の首筋に唇を寄せ、ちゅっと白い肌に吸い付いた。
「…セックスできるからじゃねえの」
赤い顔でそう悪態を吐く静雄に、
「そうかも」
と臨也は笑い声を上げた。



蝶夢様リクエスト なんかよしよしする シズちゃんが見たい
×
- ナノ -