新羅くんと臨也くん



他人のクラスだと言うのに、臨也は堂々と中に入って来た。ざわついていた教室が僅かに静まり返る。
折原臨也はこの学園では有名人なのだ。彼の天敵と共に。
新羅は顔を上げてそれを面白そうに見ていた。ここは臨也の天敵のクラスなのだ。
「やあ、臨也。何か用かな」
「シズちゃんは?」
臨也の興味はいつだってたった一人だ。綺麗な顔に僅かに笑みを浮かべて、天敵の居場所を聞いてくる。
「何か用事あるって出て行ったよ」
「ふうん」
新羅の言葉に臨也は眉をひそめた。
別に静雄だって何か用事があることもあるだろう。友人には言いづらいような。新羅は気にしないが臨也は気に入らないようだ。もう一度、ふうんと呟く。
新羅はこんな時、静雄には鎖がついているのだな、といつも思う。じゃらじゃらと重い鎖。そして多分、静雄はそれを自覚している。
「そんなに縛ってどうするつもりなの」
新羅は思い切って聞いてみた。あまり二人のことには口出ししたくはないが、純粋に臨也の考えに興味があった。
臨也は新羅の言葉に唇を歪める。その赤く見える瞳は面白がっているようだった。
「縛ってるように見える?」
「うん、かなり」
きっぱりと新羅が頷くと、ははっと臨也は笑う。
「そんなつもりはないけどね。シズちゃんが俺のことで頭がいっぱいなのは気分がいいよ」
それは臨也だって同じだろう?
新羅はそう思っても口にしない。言わなくたって、きっと臨也は分かっているから。
理屈じゃないのだな、と新羅は思う。勝手に体が動くみたいに、縛り、縛られているのだろう。お互いに。
「静雄、なんか手紙貰ってたよ」
「手紙?」
「ピンクの。多分今頃お呼び出し」
新羅は今朝の慌てた様子の静雄を思い出していた。あれは間違いなくラブレターだろう。
「そう。ありがとう」
臨也は不機嫌な態度を隠しもせず、来た時と同様に教室を出ていく。きっと静雄を探すつもりなのだ。
「ま、僕はせいぜい観察してようかな」
新羅は臨也を見送り、ふふと笑った。


100922 16:09
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