7DAYS






二日目A


昼休み。
静雄と新羅のクラスに、臨也がやって来た。
余所のクラスだと言うのに、臆することなく堂々と教室の中に入って来る。
「ご飯、一緒に食べようよ」
「はいはい、どうぞどうぞ?」
静雄が返事をしないうちに新羅が椅子を準備し、臨也がさっさと座ってしまった。静雄は半ば諦めの気持ちになりながら、無言でパンを頬張る。
一緒に登下校し、一緒にお茶をし、手まで繋いでしまった。今更昼食ぐらいでは何も言えない。なんだかそれに慣れてしまいそうで少しだけ怖かったけれど。
一週間。今日を入れて後六日だ。まだまだ先は長い。
早く過ぎればいいのに。
朝の繋いだ手の温もりを思い出さないようにして、静雄は牛乳パックにストローを突き刺した。
「シズちゃん、口についてるよ」
「あ?」
臨也はポケットからハンカチを取り出して、静雄の口元を拭ってやる。静雄はぽかんと口を半開きにして、そんな臨也を見ていた。
この光景に、昼食中の教室はシーンとなる。新羅だけが一人、ニコニコと笑って二人を見ていた。
「恥ずかしいだろ、やめろ!」
静雄は顔を赤くして、臨也の手を振り払う。それに臨也は口角を吊り上げて笑った。肩を竦めて。
「これじゃあ恋人ってより、お母さんだねえ」
「うぜえ」
静雄は悪態をつき、牛乳を飲む。味なんてさっぱり分からなかった。
「自分で言い出した事とは言えさ、君達二人が仲良くて気持ち悪い」
ははははは、と笑う新羅の足を、静雄は軽く踏み付けてやった。痛い痛い!と新羅は大袈裟に歎く。臨也はそれを見てまた笑った。


100928 09:04
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