会話






ソファーに座り、腕を背もたれに預けて、煙草を吸いながら踏ん反り返っている。
長い両足はテーブルの上に組んで投げ出されていた。
行儀が悪いことだ。臨也ははあっと溜息を吐いた。
静雄は先程からそんな態度で天井を見上げ、ぷかぷかと紫煙を吐き出している。
どうやら何か不機嫌な事があったらしく、会話さえも成立しない。

「シズちゃん」
「死ね」

声を掛けただけでこうだ。
ひょっとして何か自分がしたのだろうか。臨也は眉を顰めて考える。
しかしパッとは浮かばなかった。静雄はいつだって臨也には理解ができない存在だったから。

「シズちゃん」
「死ね」
「シズちゃんってば」
「うるせえ」
「会話する気ないでしょ」
「死ね」
「好きだよ」
「……」

愛を告げれば、悪態ばかり吐く可愛らしい唇が黙り込んだ。
ああ、本当に可愛いなぁ。
耳まで赤くなって煙草を吸う静雄を、臨也はにっこりと笑って見ていた。


100915 00:29
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