エアコン戦争







「寒い」
「いや俺は暑い」

臨也と静雄はさっきからエアコンの設定温度で言い争いをしていた。
「だってここ俺んちだよ?シズちゃん脱げばいいじゃん!」
「手前がなんか羽織ればいいだろうが。俺は暑い」
静雄は悪態をつき、エアコンの温度を下げてリモコンを放り投げた。
「ちょ・・」
フローリングの上でガチャンと砕け散った音がする。
臨也は頭を抱えた。
エアコンからは今も冷え冷えとした空気が吹かれていて、部屋の中はすっかり冷え切っている。
「壊しちゃってどうするのさ・・あー、もう」
リモコン修理だとメーカーに電話だろうか・・本当に静雄の横暴さにはたまに閉口してしまう。
静雄はフンと鼻で笑ってソファに座ると、テレビを見始める。全く気にしていないようだ。
臨也は取り敢えず携帯を取り出してメーカーを調べることにする。寒いこんな部屋になんか居られないし、さっさと部屋を出て行こうとした。
「臨也」
「なに」
名を呼ばれて不機嫌に振り返る。静雄はテレビから視線を外さないままで手招きをしていた。
ハァ、と臨也は溜息を吐いて静雄に近づく。結局のところ自分は静雄には甘く、いつも言いなりになってしまう。
近づくとそのまま抱きしめられた。ぎゅ、と加減した力で。
「シズちゃん?」
「こうすれば寒くないだろ」
「・・・・」
静雄に抱きしめられて、そのままソファに座らせられた。
臨也はハァとまた溜息を吐いて、目の前の金の髪を撫でる。静雄の耳の先が赤いのに、くすっと笑って。
「でもこれだとシズちゃんまた暑いんじゃない?」
「・・・我慢する」
「シズちゃんは可愛いなぁ」
臨也は笑って静雄の頭を抱きしめた。



100901 11:47
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