甘すぎた







たまには紅茶とかどうかな?

そう言って新羅は紅茶の葉っぱが入った瓶を見せてくれた。
新羅の家に来るといつもコーヒーだ。コーヒーメーカーがあって、リビングには匂いが立ち込めていたし。だから紅茶なんて本当に珍しい。
真っ白なカップに入れられたそれはとても綺麗な色だった。静雄はそのまま感想を言うと、新羅はにこっと笑う。
角砂糖を何個も入れて飲んだ。向かい側に座ってる臨也が呆れたように入れすぎ、と言う。コーヒーはブラックでも平気だったが紅茶は砂糖がないと無理だ。
臨也は一口ちょうだぁいと言って静雄からカップを受け取った。一口飲んで、眉間に皺が寄る。あまい、と一言簡単な感想を言った。
だったら飲むな、と言うと片方の眉を吊り上げて笑う。こいつがこういう顔をしているときは大抵ろくでもない。
臨也は身を乗り出して来ると突然静雄の首に手を回して口づけて来た。
驚いている内に舌が入り込んできて、静雄は体を硬直させる。
ちゅっと音を立ててやがて唇は離されたが、静雄は臨也に殺気を込めて睨んでやった。顔は赤い。
シズちゃんの唇の方が甘いよね、と臨也は笑う。二人の後ろで新羅がバカだね、臨也は!、と笑い声を上げている。
そんな二人に静雄はげんなりしながらまた一口紅茶を飲んだ。
それは確かに甘すぎた。



100830 08:40
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