いただきます







臨也は冷蔵庫から一本、冷たいミネラルウォーターを取り出した。
それを手にし、弄びながら寝室へと戻る。
寝室のベッドには、真っ白なワイシャツと黒のスラックスの姿の男が座っていた。
「飲む?」
「いらねえ」
臨也は静雄の素っ気ない返事も気にせず、封を開けて一口飲んだ。冷たい液体が喉を通っていく。
静雄はシャツのボタンを外していく、ゆっくりとした手つきで。
「脱ぐのおっそい」
「うるせえ」
静雄がきつい眼差しで睨んで来る。臨也は笑い声を上げた。
ベッドに近付くと、訝しげに見遣る静雄の頭の上から水をそのままかけてやった。
「つめた、っ」
おい、と文句を言おうとする静雄に唇が重なる。それは触れただけですぐに離れた。
「水もシズちゃんもいっぺんに食えるいい方法だ」
臨也は笑って静雄の頬を舐める。静雄は呆れたように溜息を吐いた。
「手前馬鹿過ぎるだろ…」
「俺は昔からシズちゃん馬鹿だから」
「……」
静雄がちぃっと舌打ちをする。頬が少し赤い。
「いただきます」
臨也はそう言って静雄の肩口に顔を埋める。
静雄は黙って臨也の背中に腕を回した。


100827 23:38
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