無自覚




女装リクエストを貰ったので少し。(旭さんへ)



「どう?可愛い?」
臨也がセーラー服でくるりと回転して見せた。
「へえ!似合ってるじゃない」
新羅はにこにこと同意する。「でも臨也に女装趣味があったなんて知らなかったなぁ!」
「文化祭の女装喫茶だよ」
臨也はスカートを掴んでまたヒラリと回転した。
体は華奢だし顔も綺麗なので確かに似合ってはいる。
「シズちゃんどう?」
臨也がノリノリで聞いてくるのに、静雄はうんざりする。
「気持ち悪い」
「うわ!ひどっ」
「静雄は正直だから」
大袈裟に嘆く臨也と、けらけらと笑う新羅。
「漫画だったら萌えるとこだよ、これ」
よくあるでしょ?美形主人公が文化祭で女装とか。
そう言って臨也は尚もくるくると回る。ひらひらとスカートが舞うのに、静雄は心底うざかった。
「いや気持ち悪い」
「…シズちゃんは浪漫がないよ」
はぁーと臨也は溜息を吐く。
「可愛いのに、ねえ?」
新羅は臨也を見てニコニコだ。セルティが一番だけど!と言い足して。
静雄は眉を顰め、ぼそりと言った。
「俺は普通の臨也の方がいいけど」
ぴたっ。
臨也と新羅が硬直する。
「?、なんだよ」
静雄は首を傾げた。
「し、シズちゃん!脱ぐ脱ぐ!今すぐ脱ぐよ!こんなの着ない!」
慌てて臨也はセーラー服を脱ぎ始める。
「いや、ここで脱ぐのはやめろ」
静雄は臨也の首根っこを掴むと教室へ放り込んだ。
「静雄って無意識なのが怖いよねえ…」
新羅はあはははっと笑い声を上げた。


100827 14:41
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