怪談話




臨也は冷えた目でテレビ画面を見ながら、缶ジュースに口をつけた。それはもう本来の冷たさを失っていて、生温い。
思っていたよりもくだらないな。
臨也は早くも飽きてきて、さっきから欠伸を噛み殺している。
夏だしホラー映画を観よう!と言い出したのは新羅で、それに珍しく乗ったのは門田だ。静雄はと言えば苦虫を噛み潰したような顔をして悪態をついていた。
怖いの?とからかえば、郵便ポストが飛んできた。全く冗談も言えやしない。
テレビの前に、臨也、門田、新羅、静雄と四人並んで座っていて、部屋は電気が消されて真っ暗にされている。
「ひゃあっ」
と新羅の悲鳴が聞こえた。スプラッタは平気なくせに幽霊は駄目らしい。
門田もたまに隣でびくっと体を動かしているから、それなりに怖いんだろう。
チラ、と静雄へと視線を向けてみた。
静雄は強がってはいたがやはり怖がっているようで、画面から顔を背けたりしている。
ちょうどラストのようで、一番恐ろしいシーンだった。
「ぎゃあっ」
新羅が馬鹿でかい悲鳴を上げると静雄に抱き着く。
静雄もヒッと声にならない悲鳴を上げて、新羅の肩に顔を埋めた。
プツン。
臨也はそれを目にした途端に無言でテレビを消す。
突然テレビの明かりが消えて真っ暗闇になり、ぎゃあああああぁっと悲鳴が闇を支配した。
門田が立ち上がって明かりをつけると何故か新羅は倒れていて、静雄は臨也にぎゅうっと抱き着いていた。
「…お前ら何してるんだ?」
「シズちゃんどうしたの?俺に抱き着いちゃうくらい怖かった?」
臨也は笑って静雄の金髪を撫でる。
「ななななななっ、なんで手前が!」
静雄は抱き着いている相手が臨也だと分かると、慌てて身を離そうとする。顔を真っ赤にして。
しかし臨也はがっちりと静雄の腰に腕を回していて、離そうとしない。
「そんなに怖いなら慰めてあげるからさ」
なんて言って臨也は静雄を押し倒すと唇を重ねた。
「…っ、んっ」
抵抗する静雄の腕がやがて臨也の首に回る。
門田はそんな二人を見て大きな溜息を吐くと、まだ倒れたままの新羅の両足を掴み部屋から連れ出した。
「ってかここ、新羅の家だよな…」
どうしよう?



ツイッターでリクエストいただいたもの。
100818 13:31
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