友人>○○なひと。




今日も今日とて犬猿の仲の二人がケンカする様を新羅は遠くから見ていた。
机が飛び交い、イスがぐにゃりと曲がる。窓ガラスが割れ、黒板に穴が開く。
大抵は臨也が逃げて、静雄がそれを追っかけて見失い、ケンカは一旦終わってしまう。
新羅はたまに飛んでくるイスやら机やらを避けつつ、窓の外を見た。
ああ、もう夕方じゃないか。早く帰らないとセルティが心配する。でも心配してくれるセルティも可愛いからなぁ。帰宅してセルティが迎えてくれる何て嬉しすぎて鼻血出ちゃいそうだ。
ゴン!
そんなことを考えていた新羅の頭に飛んできた黒板消しが当たった。

「「あ。」」

静雄と臨也が新羅を見て同時に声を上げる。
新羅は静雄の馬鹿力で投げられた黒板消しの衝撃で体がぐらりと倒れ、開いていた窓へと体が傾いた。
「新羅!」
先に動いたのは静雄で、慌てて新羅の腕を取る。新羅を思い切り引っ張り上げるのと同時に、今度は静雄が窓へとバランスを崩す。
そんな静雄の手首を掴んだのは臨也だった。
「わわわわ、びっくりした!」
新羅が目を白黒させて床に座り込む。痛む頭を押さえ、顔を上げれば臨也が静雄を抱き寄せているところだった。
「危ないなぁ。なんなの、そんなに新羅が大事なの」
臨也はとっても不機嫌そうな顔で静雄を至近距離から睨み付ける。
「うるせえ離せバカ!」
静雄は真っ赤になって臨也から離れた。
「あーあーあーあーあーあー、もう萎えた。帰ろっと」
ムスっとした顔の臨也はそう言ってさっさと教室を出て行く。
静雄の方は舌打ちをして臨也とは反対の扉から教室を出て行った。
無残な教室に残された新羅はポカンと。
「・・・なんなの?僕のせいなの?」
床には黒板消しが転がっていた。


100818 10:18
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