王子様とお姫様




寝起きはぼーっとする。
いつの間にか寝て居たらしい。時計を見るとまだ昼だった。
1時間ぐらい寝ちゃったな。
目をごしごしと擦りながら、喉が乾いたなと思う。
静雄はベッドから起き上がると、冷蔵庫に向かった。ペットボトルの水を飲み、一息つく。
ふとテレビがつけっぱなしなのに気付いた。リモコンどこだっけ…、とソファーを見ると、真っ黒な虫が寝ていた。
臨也はソファーに丸くなってすやすやと寝息を立てている。なんでこいつがここに居るのかさっぱり分からない。寝てるうちに入ってきたのだろう。
「臨也」
名を呼んでも起きない。体に触れてみるが、起きる気配はなかった。
静雄は傍らにしゃがみ込み、頭に手を触れる。漆黒な髪はさらりとした感触だ。
静雄は臨也の頬に手で触れ、優しくキスをする。すると突然手を掴まれた。静雄は驚きで目を丸くする。
「…こうして王子様はお姫様のキスで目覚めたのでした」
臨也はそう言ってゆっくりと目を開いた。
「…誰が姫だって?」
「おはよう、シズちゃん」
「手前起きてただろ」
「なんのことか分かんなーい」
臨也は笑って静雄の体を抱きしめる。
静雄は忌ま忌ましげに溜息を吐くが、臨也の好きにさせた。

100812 15:44
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