まどろみ




門田が屋上に行くと、金髪の青年が寝ていた。
太陽が出ているとは言え、外は少し肌寒い。
「静雄」
起こしてみようかと揺するが、全く反応がない。聞こえて来るのは安らかな寝息だけだ。
門田は溜息を吐いて学ランを脱ぐと、静雄にかけてやる。静雄がぴく、と動いた。
「ん…いざ…や…?」
静雄は目を擦り、手を伸ばしてきた。優しく門田の手を握る。
「…………え?」
同じ学ラン姿だから間違えたのか、静雄は門田の手を握ってまた眠ってしまった。
門田がどうしようかと固まっていると、背中をぽんと叩かれた。
「なんで手を握り合ってるの?」
眉目秀麗な男がにっこりと。
目が笑っていない。
門田はさぁっと血の気が引くのを感じた。
しどろもどろで説明すると、ふうんと納得したようだ。
「俺が見てるからいいよ、ありがとう」
臨也は学ランを返して寄越す。早く去れ、と言われてるようで門田は苦笑した。
二人に背を向けて歩き出し、ちらりと振り返れば、臨也が優しく金の髪を撫でていた。とても穏やかな顔で。
起きればまた喧嘩だろうに。
門田はそれに苦笑し、今度こそ振り返らずに屋上を出て行った。


100812 13:18
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