強風注意




ガタンガタンと外が凄い音だ。まだ雨は降っていないけど強風。
「台風だって。早く帰らなきゃ」
隣で新羅が帰り支度を急いでる。
静雄は別段急ぐわけでもなく、黙って外を見ていた。


外は思っていたよりもずっと風が強く、新羅はさっきから悲鳴を上げている。
静雄は風に揺れる髪の毛をうっとうしく思いながら、空を見上げた。真っ暗だ。
早く雨が降ればいい。
大雨になって色んなものを流してしまえばいい。
「シズちゃん」
微かに聞こえた声に振り返る。
臨也が少し離れて立っていた。

「      」

何か言っているのに聞こえない。
「なんだ?」
聞き返す自分の声も聞こえていないだろう。
臨也はにっこりと微笑んでまた何か言った。風の音で掻き消される。
臨也はそのまま手を振って居なくなった。
静雄はち、と舌打ちをする。
あいつのああ言うところが大嫌いだ。
そういうのは聞こえるように言えよ。

100812 11:54
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