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バレンタイン大戦そのに(稲妻)





帝国
例によってギャグ
無印時空のつもり(不動さんはいない)
先にそのいちを読んだ方がいいかもしれない

あらすじ:いいからチョコを出せ




〜ミーティングルーム〜

成「他の人たち何か持ってきてないっすか? 寺門センパイどうです?」
寺「んな大々的に出すようなもんじゃないんだが……」
佐「煎餅!?!?!?」
源「さり気ないがハートの形をしているし、パッケージに「いつもありがとう」と書いてあるぞ」
成「バレンタインに便乗しつつ日頃の感謝も伝えてくる二回攻撃タイプですか……やりますね寺門センパイ……」
佐「お前がハートとか面白過ぎるだろ」
寺「お前は食わなくていい」
佐「嘘です嘘嘘! つうか何で煎餅?」
寺「正直なところ、チョコばっかだと死ぬだろ、口が。箸休めっつうか、間に食べてリセットっつうか」
咲「その気遣いにマジで感謝」

成「はいは〜い、じゃあ次はオレ出します!」
辺「マシュマロぉ? チョコじゃねーのかよ」
成「敢えてっすよ敢えて。どうせチョコばっかになることなんて火を見るより明らかでしょ。だったら別路線で行った方が埋もれないっていうか。寺門センパイと同じくハートの形なんで、趣向的にはセーフなはずっすよ」
佐「む、妙に策士だな……」
成「お一人様二個限りですので! はいはいどうぞ!」
源「はは、成神のハートを貰っちゃったな、なんて」
佐「ほほぉ、成神くんはハートをくれちゃうぐらい俺たちのことが大好きなんだなぁ〜〜〜へぇ〜〜〜」 ニヤニヤ
辺「つうかこいつのハートなんて貰ったところでろくなもんじゃねぇだろ」
源「そんなことはないさ。いつも慕ってくれるかわいい後輩からの気持ちなんだ、悪いものなわけないだろう。なぁ成神?」
成「…………あぅ……」
辺「ガチ照れすんな!!!!」
佐「(ふざけて言ったとは言えない雰囲気)」

寺「そういやお前たち、突然巻き込まれてる感じだけど大丈夫か?」
万「まぁ一応は。悲しいけどもう慣れちまったよ」
辺「徐々にトンチキ言動に対しての耐性ができてきてるよな俺たち。主にキャプテンのせいだけど」
洞「センパイたちもお菓子あるなら出してくださ〜い。お菓子くれなきゃいたずらするぞ〜」
辺「あと八ヶ月ほどお待ち頂ける?」
大「チョコなぁ……チョコ、チョコ……あったぞ!」
洞「わーいブラック○ンダーお得用!」
大「ほんとは俺の小腹が空いたとき用の備蓄なんだが、今日は特別にお前たちにもやる」
成「ありがとうございまーす!」
万「じゃあ俺も出すか」
寺「これあれか? 今流行りの武将チョコってやつ」
佐「そんな高級なもんを……万丈お前ってやつは……!」
万「あ、いや勘違いするな。俺は単純に自分の推し武将が居るチョコを買って食べたかっただけだ。お前たちにはそれ以外の……俺の推し武将の敵武将たちを片付けてもらいたくてな」
辺「ごめんちょっと言葉が多過ぎて理解できなかった。何? 要はお前の好きな武将の敵の武将のチョコを食っていいってことか?」
万「そうだ。これとこれとこれとこれ、あとはこっちのゾーンは軒並み片付けてくれ」
辺「せめて「食ってくれ」って言い方しろ! 片付けるってなんだよ死体処理みたいじゃねぇえか!」
成「あっ、センパイ今ちょっと上手いこと言ったと思ってます?」
辺「ねーーーーーわ!!」

洞「オレはこれでーす」
源「マー○ルチョコか、かわいいな」
洞「はい源田センパイ、咲山センパイ、手ぇ出してくださ〜い」 ジャラジャラ
咲「ヤクみてぇだな」
洞「例えが酷いよー!」
源「おっ、顔がプリントされてるやつがあったぞ」
洞「当たりだ〜! 源田センパイ運がいいね」
源「ふふ、そうか。で、当たったら何か貰えるのか?」
洞「なんと、もう一回あげます!」
源「おお!」
佐「…………」
寺「どうした」
佐「何だあのふわふわ空間……俺も、俺も洞面にじゃらじゃら〜ってやってもらいたい……」
辺「じゃあ源田の後ろに並んでこいよ」
寺「此処でごちゃごちゃやってるよりよっぽど建設的だな」
佐「そんなこと言いながらちゃっかり一緒に来るのか」

寺「五条は何を持ってきたんだ」
五「ククク、紅茶ですよ」
源「? いつも持ってきているやつとは違うのか?」
五「いつものは簡易的なティーパックですが、今日は茶葉とポットを用意しました。やはり道具と時間をきちんと用意した方が美味しいですしねぇ」
辺「ほーん。しかしまた何で紅茶なんだ。バレンタインだぞ今日」
五「どうせ皆さんチョコレート、ないしはマシュマロやクッキーといった甘味、そうでなくとも寺門くんのように塩気のある菓子を持ってきそうな気がしましてね。併せるのならこれが一番かと。……はいどうぞ」
源「気が利くな。……ん、美味い」
寺「いつもより味が生き生きしている気がするな」
五「一から淹れていますからね。茶葉も拘りましたし」
成「葉っぱと淹れ方でこんなに変わるもんなんすね〜」
五「ひと手間が大事なんですよ。皆さんだって、個数や見た目なんかを考えてお菓子を選んできたのでしょう? そのちょっとした、スプーン一杯分ぐらいの労力があってこそ、このような味や雰囲気が成り立つんですよねぇ、ククク……」

佐「で、トリは辺見、お前なわけだが」
辺「トリも何も俺を遮りまくったのはお前たちだろうが。そもそも何で全員持ってきてんだよ」
寺「そりゃあ、去年あれだけ騒げばな……」
万「今年は少しぐらい用意するかーって思うだろ」
辺「気の回る連中なこった」
源「そうは言うが、持ってきてるんだろ?」
辺「…………まぁ、一応」
成「じゃあ早く出してくださいよ。ゲーセンでとれるメダルチョコでも笑いませんからオレ」
辺「笑う前提なのがクソ腹立つんだよ。……ほらよ」
洞「サッカーボールのチョコ?」
大「よくお菓子コーナーで見かけるやつだな」
佐「……何つうか、普通?」
辺「……っああそうだよ! 別に何の捻りもねぇ、サッカーやってる面子に配るんならこれでいいだろって安易に考えたやつだよ! 源田や万丈みてぇにちゃんとしたやつでも、佐久間や大野みてぇに量があるやつでも、寺門や五条みてぇに気ィ遣ったやつでも何でもねぇ、ただの丸いサッカーボールの銀紙巻いたチョコ!」
咲「……いや、お前さぁ……」
辺「なんだよ、笑いたきゃ笑えよ」
佐「……辺見、お前、いいやつだな……」
辺「は?」
五「クク、貴方のそういうところ、嫌いじゃないですよ」
成「センパイもかわいいとこあるんすね」
辺「は? 何?」
源「何ということはないさ。辺見はサッカー部の皆が大好きなんだなぁ、と思ってな」
辺「……っ、ちっげーよ!!!!」

源「…………」
寺「そわそわしてどうした」
源「えっ、あ、ああいやその、こうも色々なものが沢山だと、どれから食べようか目移りしてしまってな……」
咲「まぁ、気持ちはわかる」
源「あげて、貰って。今日はいい日だ」
成「源田センパイは女子からも貰ってるでしょうしね。あ、オレも貰ってますけど」
辺「嫌味か???」
源「嫌味のつもりはないんだが……。……だが、楽しいな、こういうのは。皆とこうして、他愛ないことで騒げるのは、やっぱり楽しい」
辺「……そーかよ」
咲「辺見照れてんのかよ気持ちわりぃな」
辺「照れてねぇ! 大体悪いのは俺じゃなくてこっぱずかしい台詞量産機の源田だろうが!」
源「こっぱずかしい台詞量産機って何だ!?」
五「ククク、紅茶でも飲んで落ち着きましょう。ミルクティー向けの茶葉もありますよ……」
大「ウガーッ! 足りん! もっと食わせろ!」
万「明日にスーパーにでも行け!」

佐「……ほんと、騒がしいわ」
洞「佐久間キャプテン、にこにこしながら言う台詞じゃないよ」
佐「してねっつの」



こねたの がいねんが くずれる !
全員出そうなどと無謀なことをしてはいけないのだなご主人!
厳密には不動さんが居ないけど、まだこの時期には編入してきてないと思って頂けると幸い。

誰一人ペンギン型のチョコレートを持ってきていないことを不思議に思われるかもしれませんが、案外そういうのは敢えて避けてるんじゃないかな〜という憶測です。もう彼らの中ではペンギンさんも立派な仲間なので、仲間を食べるのはどうなんだ……という躊躇いが無意識にあるのかもしれない。





2020/02/19


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