無慈悲にもつぶされるハート | ナノ


通じない直球勝負


※ご注意
・時系列としてはED後、ロラン君も一緒に住んでるという設定
・若干本編と違う、ねつ造されている部分が見受けられたりするかもしれません
・漂うコレジャナイ感




 僕の父様は料理を食べるのも作るのも好きだ。あのころも、よく手料理をふるまってくれたのを覚えている。それは、昔から変わらないことのようだ。
「ミリエルー、ご飯できたよー」
「父様、手伝います」
「じゃあ、テーブルまで運んでくれるかな。こっちが僕ので、こっちがロランのだよ」
 並んだ皿の中身は一回りほどサイズが違う。とはいえ、小さい方に当たる僕のものでも一般のサイズより一回り近く大きい。
「……父様、母様の分はどこに?」
「ミリエルの分は最後の仕上げがあるから後で持っていくよ」
 なんだか嫌な予感がする。
「いやいや予感というものは確証がないものだから、100%信じるのも……」
 二つの皿と三人分のスプーンを手に食卓へと向かう。相変わらず、母様の目は本へと向いたままだ。
「さあ、できたよ! ミリエル、お待たせ!」
 意気揚々とキッチンから出てきた父様の声とともにテーブルにおかれたオムライスを見て、僕は軽く息をつく。黄色い卵の上にはハートをかたどった赤いケチャップ。直球な愛情表現は父様の得意とするところだが、いかんせん見ているこちらが気恥ずかしくなってしまう。 そんな空気をものともせず、本を閉じて母様はスプーンを手に取る。
「ありがとうございます。では」
 ぐちゃり、とケチャップは母様の手によってあっけなく元の形をなくした。もちろん、当の本人は顔色一つ変えていない。
「ミ、ミリエル……?」
「ケチャップが均一でなかったので、のばしてみたのですが……なにかおかしなことでも?」
「いや……なんでもないよ」
 見るからにしょんぼりとしている父様には目もくれず、母様はオムライスを口に運ぶ。
「……ソールさんの料理は今日も美味しいですね」
「ほ、ほんと!?」
「嘘をついて何になるんです」
「ありがとう、ミリエル!」
 打って変ってにこにこと隣に座る父様と、やはりそんな様子を気にも留めない母様。まるで、僕の知るあのころのように戻ったような、そんな昼下がり。





あとがき
新ジャンルの記念すべき一作目。ついったーで見かけたネタをまとめてみました。
オチに悩むのはいつものことのようです。



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