どこかで見た話 | ナノ


ヒヨチョコボのお話


※ご注意
・安定のコレジャナイ感
・ところどころ、本編とは違った部分が見受けられるおそれがあります
・そんなにBLというわけでもないです
・チョコボ牧場のつくりってどうなってるんでしょう……




 魔法陣の赤い発光が収まってから、僕たちの耳に届いたのはいつも通り小さな、けれどたくさんの鳴き声だった。
「わあ……! エース、見てくれ!」
 マキナが指差す方向から、いつもの二羽だけではなく、それ以上の数のヒヨチョコボが僕たちに向かって走ってきた。数にしてざっと10匹程度か。
「すごいな……でも、いったいどこから?」
「なんだ、0組。来てたのか」
 かけられた声のほうに顔を向けると、飼育係が立っていた。僕たちの足元に群がるヒヨチョコボたちを見て、彼は苦笑する。
「それ、あんたたちのところの卵からかえったんだ」
「これ、全部?」
「ああ。ただ、こうやって勝手に隙間から脱走しやがってな……手を焼いてるんだよ」
「……すみません」
「何でお前らが謝るんだ? 元気なのはいいことだ。まあ、またしばらく成長してから引き取ってやってくれ」
 そう言って、彼はヒヨチョコボたちを元の場所へ戻そうとする。
「……あの!」
 しばらくヒヨチョコボを見つめていたマキナが声を上げる。
「なんだ?」
「もうちょっとだけ一緒にいてもいいかな」
「そう、だな。僕からもお願いしたいんだけど、かまわないか?」
「よく見かけるとは思ってたけど、お前ら本当にチョコボが好きなんだな」
 マキナと顔を見合せて、苦笑いをこぼす。
「わかった、場所だけ教えておくから、満足したら足にタグが付いてる奴は全員連れてこいよ」
 それから手短に説明をして、飼育係の彼は別のチョコボ舎へと向かった。


「こんなにチョコボが生まれるのなんて、久々だな」
「言われてみればそうかもな。最近は、特に一羽二羽とかが多かったし……」
「それにしても……相変わらずマキナは人気だな」
 彼の足もとには、またヒヨチョコボがたくさん群れている。
「うーん、やっぱりヒヨチョコボはふわっふわだなー」
 しゃがみ込んで、マキナは一羽を手の上に拾い上げる。彼に頬ずりをされているヒヨチョコボは、しばらくされるがままになっていた。が、攻撃の手が休まったころに突然その頬をつついた。ただし、それは攻撃的なものではない。たぶん、それは人で言うならば親愛のキスとでもいったところなんじゃないか。少なくとも僕にはそう見えた。僕も、マキナの隣にしゃがみ込む。
「……なんだったんだ、今の?」
「ねえ、マキナ。こっちのもかわいいよ。ふわふわ具合なら負けてないんじゃないか?」
「え、どれどれ────」
 何の疑いもなくこちらに向いた彼の唇をふさぐ。しばらく、何が起きたのかわからないといった顔をしていたマキナだったが、困ったような顔をして僕に尋ねた。
「……えーっと、何?」
「びっくりした?」
「そりゃあ……まあ」
「ちょっと、悔しかった」
「はは、何それ」
 さっきのこともだけど、他にも無条件でマキナの笑顔を見れることとか、いろいろと。自分でも動物に嫉妬するなんて、情けないやつだとは思うけれど。はあ、とため息をついたと同時にぎゅっと抱きしめられる。
「心配しなくても、オレの一番はエースだってば」
「またそういうことを言う」
「もしかして、疑ってる?」
「まさか。ありがとう、うれしいよ」
 足もとで、ヒヨチョコボがぴよ、と鳴いた。




あとがき
フォロワーさんのお誕生日祝いに書かせて
いただいたものに、ちょこちょこ手を加えたものに
なります。

久々のAマキで、なんだかコレジャナイ感が
大きくなりつつあります。もとより私にそんな
BLBLしいものなど書けないのであった……。
それととりあえず、私は困ったらチョコボ牧場
みたいに考えるのをやめたほうがいい。



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