ヒヨチョコボもふもふしたい | ナノ


やきもちを焼くお話


※ご注意
・なんともいえないコレジャナイ感
・ところどころ、本編と違った部分が見受けられるおそれがあります
・時間軸としては、結構ゲーム序盤のイメージです。でも、両思いではある感じ




「あ、エースさん!」
 大魔法陣に戻ってきた僕の元に、デュースが駆け寄ってくる。
「デュース? どうしてこんなところに?」
「探してたんです、エースさんのこと。心当たりのある場所は全部回ってみたんですけど、見つからなくて……」
 だから、ここで待ってたら会えると思ったんです。そういって彼女は笑った。
「結局、どこにいたんですか?」
「チョコボ牧場だよ」
「ああ、なるほど……」
 デュースはなんだか複雑そうな顔をした。でも、それはほんの一瞬のことだったので、もしかすると僕の思い過ごしかもしれない。
「それで、どうして僕を探していたんだ?」
「え、えっと……この前の授業でわからない部分があったから、教えてもらおうと思って……」
「それなら、別に僕じゃなくてクイーンやトレイでもいいんじゃ」
「クイーンさんは忙しそうにしていましたし、トレイさんはお話の最中だったので、邪魔をしたら悪いかなって」
 いっそ、トレイの話は止めてやったほうがよかったのではないかとも思うが。
「そうだ。もし、それが急ぎでないのであれば、デュースも一緒にチョコボ牧場に行かないか?」
「え?」
「最近ヒヨチョコボが生まれたみたいでさ。小さくてかわいいし、触ったらとってもふわふわだし──」
「わたしは……いいです」
「もしかして……チョコボ、嫌いか?」
「ち、違うんです! そういうわけじゃなくて……」
 先ほどの、彼女の複雑な表情がよみがえる。
「僕の気のせいかもしれないと思ったんだけど、そうじゃないみたいだな」
「何が、ですか?」
「さっき、僕がチョコボ牧場に行ってきたと言ったときも、デュースは複雑そうな顔をしてたんだ」
「顔に出ちゃってたんですか」
 少し恥ずかしいですね、と彼女は目を伏せる。
「でも、大丈夫です。ただのみっともない、やきもちなんです」
「やきもち?」
 チョコボ牧場にやきもちを焼くような相手なんかいるだろうか。飼育員の誰かなのかもしれないが、あいにく僕自身にはまったく心当たりがない。
「……笑わないでくれますか?」
「もちろん」
「実は……やきもちの相手はチョコボたちなんです」
「チョコボ?」
「……少し彼らのことがうらやましかったんです。だって、エースさんが牧場にいる間、ずっとかかりっきりでいてもらえるんですもの」
 彼女の言葉の意味を理解し、思わずくすりと笑う。すると、デュースは真っ赤になった頬を小さく膨らませた。
「わ、笑わないって約束したじゃないですか!」
「ごめんごめん。そうか、そんな理由で……」
 いまだに、不服そうな顔をしたままの彼女を抱きしめ、優しく頭をなでる。
「こうしてほしいなら、最初からそう言えばいいのに」
「で、でも、迷惑かなって思って……」
「迷惑だなんて、とんでもない。こういうわがままは、もっと言ってくれた方が助かるくらいだ」
 情けない話だけれど僕は、どうにもそういったことになれていないからか、表に出てこなければ気づいてやれないみたいだし……。
「エースさん──」
「デュースには寂しい思いをさせたくないんだ。だから」
「……はい」
 そう言って笑えば、彼女もふわりと微笑んだ。




あとがき
とあるフォロワーさんの誕生日祝いに書いたものに
ちょちょいと手を加えたものです。
嫉妬というものは、人によるとは思いますが割と
相手を選ばないものである、というイメージを個人的に
持っています。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -