コーヒーの海
今夜もローランサンは帰ってこない。
マグカップのホットコーヒーの海を見つめながらため息をついた。
明日の朝には帰ってくるからという置手紙を残して出かけてから、早くも三日経っている。
行先はどこか、誰かに会うのかすら書かれていないそれを見た時、きっと僕は捨てられたんだなという考えが頭をよぎっていた。
「大丈夫…きっと帰ってくる……」
自分に言い聞かせながら冷めかけのコーヒーを一口飲む。
コーヒーはあまり好きじゃない。
暗い夜の海みたいだし、何より砂糖やミルクを淹れてもほろ苦い…
それでも今コーヒーを飲んでいるのはサンがコーヒーが好きだから、僕が淹れたコーヒーを褒めてくれるサンなら、この匂いにつられてヒョッコリ帰って来るんじゃないかと心のどこかで信じているからだった。
『きっと帰ってくる』と『もう帰ってこないかもしれない』
二つの思いが混ざり合って砂糖とミルクのようにぐるぐる心をかき回す。
サンを完全に信じ切れていない自分自身に嫌悪感を抱いた。
サンへの疑念と自分自身への嫌悪感
両方ともコーヒーの海に沈められれば良いのにと、冷めきった液体を飲み干した。
(だからコーヒーは嫌いなんだ……)
まとまらなかったww
そして盗賊なのにサンがいないという…
サンはきっと帰ってきましたよ(`・ω・´)
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