AnotherColor | ナノ


(モノクロ 12.アジア支部 を読んでから読むことをオススメします)



『うわ、すっご』
「ライ、何見てるんですか?」


モニターの映像を覗き込みながら感心したような声を上げるライに、後ろからアレンが声をかけた。


『あ、アレン。これだよ』


ライが場所を空け、アレンがその横に並ぶ。


「ああ!レベル3のアクマと闘うとこですね!」


映し出されているのは、アジア支部内でのアクマ戦。
身体中にヒビが入ったバクがフォーを抱えているシーンだ。


『さっきオレとアレンのも見たんだけど、今の編集技術ってすごいな』


こんなん絶対痛いだろ、と眉を寄せるライ。


『自分の体が粉々になってるの、見てるだけで痛くなってくるもん…』
「確かに…実際にこんなになったら絶対キゼツしますよ、僕」
『オレもだ』


少しして、覚醒して神の道化となったアレンが拘束されたアクマと対峙している場面が映った。
そうそう、とライが映像を止め、アレンに向き直る。
アレンが頭にハテナを浮かべた。


『アレン、この神の道化の衣装すごい似合ってるな、かっこいい』
「ホントですか!わぁ、嬉しいな!」


素直に喜ぶアレンに、ライの口も弧を描く。


「僕、この衣装着るのすごく楽しみにしてたんですよ!だからこの撮影、メチャクチャ楽しかったです」
『横で見てて思ったよ、アレン楽しそうだなーって』
「ライもかっこよかったですよ、新技の時とか。氷の上に立ってるライ、すごく綺麗でしたし!」
『え、いや、あ、ありがとう…?』
「何で疑問形なんですか」


照れ隠しに、ははは、と乾いた笑みを浮かべるライにアレンがくすくすと笑った。


『でもあれすげー冷たくて寒かったんよ…足凍るかと思ったもん…』


撮影時を思い出したのか、ライがふるりと震えて両腕を擦り合わせた。
衣装が衣装("バク"の私服という体での衣装)のため、あの時の足元は素足に薄い布靴のようなもののみだったのだ。
それで本物の氷の上に立たされれば、布靴が溶けた冷水を吸い、体が冷えるのは当たり前だろう。


「あれ撮り終わった時、真っ先に足、お湯につけに行きましたもんね…」
『いやー、お湯用意してくれてて助かったよ、ホントに。ていうかこれでオレ、水上でも戦えることになったのかな』
「そうなんじゃないですか?」
『……てことは今後もやるのか?こういうの…』


うげ…と顔を歪めたライに、アレンが苦笑した。


「まあでも、きっとその時は団服のブーツでしょう?たぶん大丈夫ですよ、たぶん…」
『メイビーが多いな……』
「た、たぶん…ですけど…」


…と、ガチャッ、とドアが開く音。
二人が振り返るよりも早く、何かが二人の腰にぶつかってきた。


「ライ〜、アレ〜ンっ」
『うおっ』
「わっ」
「久しぶりぃ〜」
『「ロード!」』


えへへ、と嬉しそうに笑うロードが二人を見上げる。


『か、かわいい…天使がいる…』
「ライの方が可愛いよぉー」
『あああその上目遣いがもう反則なんだよぉ!』


デレデレと頬を緩ませるライに若干引き気味のアレン。


「ロード、どうしてここに?」


二人から離れたロードがにっこりと笑った。


「そろそろ僕達も撮影なんだぁ〜」
『えっ、てことはそのうちまた一緒に撮影できるんだね!』
「そうだよぉ、楽しみにしてるねぇ」
『他のノア組も来てるの?』
「んーと、センネンコーと、ティッキーと、あとライとアレンがまだ会ってない三人!」


いち、に、と指を折りながら数えるロードは、次いで三本の指を立てて見せた。


『え、そんなにノア増えるの?ていうかオレ実はまだ伯爵にも会ってないんだよな』
「うーん…これは激闘の予感ですね…」


あれ?とロードが首を傾げた。
ずいっと一冊の冊子をライ達の目の前へと突き出す。
表紙には、"江戸編〜"という文字の下にエクソシスト達とノア達が対峙するようなラフ絵が描かれている。


「二人とも、台本貰ってないのぉ?」


ぱちくり。


『……え?』
「さっき撮影所で配ってたよぉ。遅れたから素早く目を通すように〜って」
「わああっ、早く貰いに行かなきゃ!」
『教えてくれてありがとうロード!』
「僕も一緒に行く〜」


ロードは二人の間に立つとそれぞれの片腕にしがみつき、引っ張るように部屋を出る。


『激闘かぁ…どうなるんだろ』
「表紙を見るに、やっと"ライ"と"アレン"も船組と再開出来そうですね」
『そーだね!それは楽しみなんだけど…』


ライがうーんと眉を寄せた。


「どうしたんですか?」
『いや、今まで以上に筋肉痛が酷くなりそうな予感…』
「ああ…」


ずーんと沈んだアレンにロードがにこりと笑う。


「それなら、センネンコーが湿布たくさん持ってきてくれてるから大丈夫だよぉ」
『流石!ノアのお父さん!!』
「やっぱり大人ですね…僕も見習わなきゃ…」
『後で美味しい紅茶でも差し入れしようか』
「いいですね、それ!」


三人は笑顔で後程一緒に買い物に行く約束をしたのだった。




(センネンコ〜)
(アラvロード…に、エクソシスト側のお二人じゃないですカv)
(ノアのお父さんに差し入れだよ)
(いつも湿布ありがとうございます)
(これ八…大事に飲ませて頂きますネv)


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