モノクロ | ナノ


未だ眠ったままのライとラビの周りの食人花を、アレンのイノセンスが次々に撃ち抜いていく。


「起きてください、ライ!ラビ!」


アレンは自身の周りの食人花も撃ちながら、大声を上げる。


「くっそ!どんどん巻きついて……ライ!!起きてください!!」
『……っ、う?』
「ライ!」
『え、なにこれ…?なに?え…?』


やっと目を覚ましたライだが、状況判断が上手くいかないのかひたすらにハテナを浮かべるライ。


「この花は食人花です!気をつけてください!」
『食人花…!?え、これオレらエサになってんの!?』
「分かりません、とりあえずラビも起こさないと…!」


ライが見ると、ラビはぐっすりと眠ったまま動かない。
幸いライはラビのすぐ近くにいたため、できる限り体を近づけ大声を出した。


『ラビ!!!起きろアホ!!!』
「…う………ライ…?」


うっすらと目を開け反応を返したラビにほっとしたライとアレンだったが、


「こら!そこの人間共ーーー!!」


突然上から降ってきた女性の声に三人は顔を上げた。
ナースのような衣装に身を包んだ綺麗な女性がこちらを見下ろしている。


「何してる!!この子達はアレイスター様の大事な花よ!!」


バキューン


『え?今なんか聞こえ…』


女性はアレンの団服へと視線を向けた。


「(あの十字架は…)エクソシストか…」


小さく呟いた声は、三人には聞こえなかった。


「何か熱い視線を感じる…」


ふと視界に映るキラキラとした光。
それはライにもアレンにも見えていて、元を辿ると、


ストライク!!!


「へ!?」
『でた…』
「アラ」


目をハートにさせて女性を見つめるラビの姿。


「ラビ?おーーい」
『無駄だアレン、こうなったラビはどうにもならん』


そんなラビに何度も声をかけるアレンへ、諦めの表情を浮かべたライが言う。
そんな二人とは対称的に女性はどこか嬉しそうな表情で、


「ウフン」


ラビに向かってパチンとウインクをした。


「うひょう!!!」
「ラビーーーッ!!!」


興奮するラビに噛み付くように吠えるアレン。


「可愛い子ね。どう?私の恋人になる?」
「マジ…!?」
「聞けぇ!!!」


と、ラビの頭にイノセンス化したアレンの左拳が落とされた。
鈍い音を立てたそれは、ラビの頭に巨大なたんこぶを作った。


「何すんさー…」
「何あんなのに興奮してんですか!!!」


アレンの言葉に女性はピクリと反応する。


「「あんなの」…?」
『ちょ、女性に向かって失礼だぞアレン!しかもめちゃくちゃ美人さんじゃねぇか!!』
「…あら、貴女は物分かりがいい子ね」
「ライまで!?」
「やっぱガキだな、アレン」
「はぁあぁぁああっ!?」


わちゃわちゃしだす三人に、表情をキツくした女性は上から声を投げかけた。


「あたしはアレイスター様の助手のエリアーデ。あんた達、ここに何しに来たワケ?」
「吸血鬼退治」
『ラビは黙ってろ』


未だに目をハートにさせているラビにライが冷たく言い放つ。


「男爵に連れ去られた村人を捜してるんです!」
「村人ぉ?ああ、コレ?」


そう言ってエリアーデは、フランツの死体を片手で持ち上げてみせた。


「今から埋めにいくとこだけどぉ?」
『「「!!」」』
「欲しいなら…あげるわ」
「!」


エリアーデが死体を振りかぶり、そして勢いをつけてこちらへ投げ飛ばす。


「フランツさん…!?」


死体は一体の食人花が中心にある口でしっかりとキャッチし、そしてそのまま鈍い音を立てて噛み砕いていった。
花の隙間から赤黒い血が吹き出る。


「なっ…!?」
『うげ…』
「フンだ」


食べ終わったのか、嬉しそうに小さなゲップをした食人花は蕾に戻っていた。
その表面に浮き出るのは、アクマのペンタクル。


『!っ水牙、』


それは途端にライ達の周りの花にも移っていき、そして


カッ


『疾水…!』


ライの言葉と共に、辺りは巨大な爆発に包まれた。



* * *



「御祖父さま」


私はもう、あきらめたである。
私はこの城で…生きて死んでゆく運命なのだ。
村人達にも嫌われ、もう誰も私と友達になってくれはしないでしょう。


「…まぁそれは今に始まったことではないであるが…」


ぽろりと零れる涙。


「なっ、なんで泣くであるか!!私には…愛しいエリアーデがずっと側にいてくれるんだから…っ」


御祖父さま…
これは…あなたの呪いですか?
いつまでも世界に憧れ、あなたの遺言を破りそうな私を縛るために…


「あなたが私をこんな化物になさったのですか?」


突然、辺りが大きな爆発音に包まれ部屋が揺れた。


「…!?何であるか!?」


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -