モノクロ | ナノ


ガコォン、と音を立てて船が乗り場へと到着した。
地下水路に音が響く。


「ライ、着きましたよ」
『んん…まだ…死にたく……ない……』



アレンがライを軽く揺すりながら名前を呼ぶが、ライは脱いだ自分のコートにくるまったまま起きようとしない。


「はい…?(寝言?)っていうか、せめて自分のベッドで寝てください、よっ!」
『…う、貴様ぁ……』


アレンにコートを奪われ、寝ぼけ眼でアレンを睨む。


「(か、可愛い…)っほら、早く船降りますよ…僕も早く寝たい…」


眠い目をこすりながらしぶしぶ降りるライにコートを返しながらアレンも船から降りた。




05.黒の教団壊滅事件




ふらふらと歩きながらコートに腕を通すライの後ろでアレンが大きな欠伸を漏らす。


「にしても、だいぶ遅くなっちゃいましたね〜」
「この嵐で汽車が遅れましたから…」


船を固定していたトマが振り返って言った。


「もう真夜中だなあ…。回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」


アレンが涙を溜めた目をこすりながら言った。


「科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」
「じゃあ行ってみます。ライ、行きますよ」
『ういー…』
「ちゃんと前見てください、もう…!ほら、転びますよ!」


目をつぶったままふらふらと歩くライの腕をひっぱりながら階段を上がろうとしたアレン。


ドサ


「!?」
『…んぁ?』


突然アレンの目の前に黒い影が降ってきた。


「え?」


それは仰向けに倒れているリナリー。
ライの目が一気に開かれた。


『え…?リ、リナ、えっ!?』
「リ、リナリー!?どうしたんですか!!」


突然のことに慌ててリナリーを抱き起こすアレンと、さあっと顔を青ざめるライ。


「も、戻ったかアレン、ライ…」
「!リーバーさん!?」


次いで階段上にゆらりと現れた影と声に視線を上げれば、そこにはボロボロになったリーバーがいた。
左肩を押さえ、肩で息をしながら階段を降りるとアレンに倒れこむ。


『リーバーさん…!?な、何が…』
「そのキズ…?何があったんですか!」
「に…逃げろ」


リーバーはそのまま、絞り出すように言った。


「コムリンが来る…」
『へ?』
「は?」


その言葉と共にどこからか地響きがだんだんと近付いてきて、階段すぐ横の壁がドカンと派手な音を立てた。
無傷で壁を破壊して出てきたのは巨大なロボット。


「来たぁ」
「!?」
『な、なんか前にもこんなの…』


アレンにもたれながら言うリーバーに、アレンはロボットを驚愕に見開かれた目で見つめた。
ロボットは勢いを失わないまま水路へ突っ込み、大量の水しぶきが上がる。


「え゙ぇえ゙!?」


大量の水しぶきはそのままライ達に襲いかかった。


『っ…?』


目をつぶったライは誰かに引っ張られたような気がした。
肌が空気に触れライがうっすらと目を開くと、視界に白衣が映る。


「…大丈夫か、ライ…」
『あ、ありがと、リーバーさん…』


自分を支えるしっかりとした腕とは裏腹に、やつれたなんともいえない顔のリーバーにひきつった笑みを返した。
と、水浸しのライ達の前の水路からコムリンが姿を現す。


「な、何アレ?何アレ!?」
「くっそ、なんて足の速い奴だ…」
『オレの予感は当たったんだ…!』


こちらを向いたコムリンからピピピピ…と機械音が鳴った。


「発…見!リナリー・リー、アレン・ウォーカー、ライ・トキハ、エクソシスト三名、発見」


リナリーを抱いたアレンが驚いたような表情を浮かべてコムリンを見る。


『すいませんオレさっきエクソシストやめました!』
「え、ちょ、ライ!?」
「逃げろアレン、ライ!こいつはエクソシストを狙ってる!!」


コムリンがその巨大な腕を振り上げた。


「手術ダーーー!!」
『やめたって言ってんだろぉぉおおお!!!』


反射的に階段を駆け上がる五人に、コムリンはその階段を破壊しながら追ってきた。


『ぎゃあああああくんなポンコツううううう!!!』
「うわわわっ、追ってくる!追ってくる!!リーバーさん!ワケがわかりません!!」
「ウム、あれはだな!コムイ室長が造った万能ロボ「コムリン」つって…」


険しい顔でくわっと目を見開くアレンと、全力で走りながらさらっと言うリーバー。


「見ての通り暴走してる!」
「何で!?」



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