モノクロ | ナノ


「ぐーーーー」


司令室に来た途端、出迎えたのはコムイのいびきだった。


「室長!コムイ室長!」
「んゴーーー」


リーバーがゆすっても、あろうことか自分たちのリーダーなのに、殴っても起きる気配はない。
ついにリーバーはコムイの耳元に口を寄せた。


「リナリーちゃんとライが結婚するってさー」
「リナリィィー!!!ライちゃあああああああん!!!ボクに黙って結婚なんてヒドイよぉー!!!」


途端に飛び起きるコムイは涙を流しながら叫んでいる。


「悪いな、このネタでしか起きねぇんだこの人」
『……それオレ必要か…?』


しれっと言い切るリーバーにリナリーはうつむき、神田とアレンとライは引き気味でいた。


「ほら、ライもいれれば威力二倍だろ」
『え、あ、おう…』



* * *



三人はライを中心に、並んでソファに座っていた。


「いやーごめんね。徹夜明けだったもんでね」
「オレもっすけど!」


復活したらしいコムイが開き直って笑いながら言うと、すかさずリーバーの突っ込みが入る。
コムイはへらりとそれをスルーした。


「さて、時間がないので粗筋を聞いたらすぐ出発して」
「はい、ライ」
『あ、ありがとリナリー』


リナリーがそれぞれに黒い冊子を渡した。
どうやら今回の任務の資料のようだ。


「詳しい内容は今渡す資料を行きながら読むように」


するとアレンと神田がライの頭上で視線を交わす。


「今回は三人で行ってもらうよ」


途端に、げ、という顔をコムイに向けるアレンと神田。
ライはただ苦笑するしかなかった。


「え、何ナニ?もう仲悪くなったのキミら?でもワガママは聞かないよ」


コムイが壁にかかった紐を引っ張ると、イタリアの地図が現れる。


「南イタリアで発見されたイノセンスがアクマに奪われるかもしれない。早急に敵を破壊し、イノセンスを保護してくれ」


地下水路に移動する前に、コムイがライを呼んだ。


『ん?』
「あの2人を頼んだよ…。なんかよくわかんないけど仲悪いみたいだしー?」
『あ、あはは…了解…(荷が重いっすコムイさん…)』


どことなく不満そうなコムイにライは顔を引きつらせながら答えると、コムイとリーバーとともに地下水路へ向かった。
しばらくして着いた地下水路では、すでに大きなゴンドラが止まっていて出発の準備をしていた。
コムイがアレンに団服のコートを手渡す。


『お、似合うじゃんアレン』
「ちょっと大きいね」


コートを着たアレンを見てコムイが言った。


「これ、着なきゃいけないんですか?」
「エクソシストの証みたいなものでね。戦闘用に造ってあるからかなり丈夫だよ。あと、左手の防具はボク的に改良してみました」


にっこりと笑うコムイの言葉に、アレンの手にはめられた防具を見る。
と、その下の袖の部分がもぞもぞと動いた。


「!?」


それはだんだん上へあがっていき、袖口からはゴーレム、ティムキャンピーがぴょこっと顔を出した。
ティムは元々アレンの師であるクロスのゴーレムで、ライは教団で何度か遊んだことがある。


「ティムキャンピー!どこ行ってたんだお前」
『ティムおはよ。やっぱお前、見ないうちにちょっとおっきくなったな?』


驚くアレンをよそにティムはライの方へ飛んで行き、その頭に乗っかったまま動かなくなった。
三人が乗ったゴンドラが探索部隊によってすっと動きだす。


「ティムキャンピーには映像記録機能があってね。キミの過去を少し見せてもらったよ」


コムイを見るアレンをライはじっと見つめた。
アレンの過去……気にはなるが、それはきっとそのうちアレンから聞けることを願う。


「行ってらっしゃい。ライちゃんも気をつけてね!」


笑顔で親指を立てるコムイにライは、にっと笑った。


『うい』
「行ってきます」


ゴンドラが進むにつれて、コムイ達が小さくなっていく。
ライは二人が見えなくなったところで、前を向いた。



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -