5..その時、何か変わった気がした
同日。
柳葉は流行りのインフルエンザにかかってしまい、寝込んでいた。
時間は午後1時過ぎ。
偲巫と約束した時間はとっくに過ぎていた。
(まずい…電話しなきゃ…)
重い身体を起こし、家の電話を取り、偲巫の携帯番号を打ち込む。
…病気だと知れば偲巫は心配するだろうと思い、柳葉は声の調子を整えた。
「あ、もしもし」
『柳葉…』
「すみません…今日行けなくなってしまって………」
『…そ…そうだったんだ…』
「また遊びましょうね、先輩」
『う、ん』
「よし…気付かれなかった…」
柳葉は病気を気付かれなかった事に安心し、寝台に戻ろうとした所で母に「病院へ行け」と声をかけられた。
(あー…つら…息子殺す気かよ…)
そんなことを思いつつ、柳葉はマスクを二重に重ねて病院へと向かった。
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