Chapter:W


集合時刻より五分前
その時間帯にしかと、席に座る男性がいた

長めの黒髪を後ろでまとめた男性
名をギフレイル=サミルウェイン。
五大公爵家のひとつ、サミルウェイン家の当主だ


「おーい、クルト。いっつも思うんだけどさ、そろそろ代交代する気ない?」
「ありませんよ、何言ってるんですか叔父さん」


ギフレイルの言葉をスパン、と切り捨てたのは彼の甥にあたる
クルトシエル=サミルウェインだ
ギフレイルには子供がいないため、クルトシエルは次期当主候補の最重要候補だった
最重要候補にして、ギフレイルの従者という微妙な立ち位置にいるのが彼なのだが、もともとの生真面目な性格が相まって絶妙な立ち位置を守っている


「クルトが早くうちの当主になっちまえって…
 おじさんもう40近いのよ?最近会議に若いのばっかくるからおじさんついていけない…」

「なに、言ってるんですか!そもそもあんな若い集団が政治を引っ張ってる方がおかしいんです!エレインド家の当主なんて11ですよ!11歳!!!」

「カウル君がいるからいいでしょーが
 あの子はしっかりしてるし、政治をわかってる。それにリオナちゃんの心理も理解してるんだから適任だって、そう思わないか?」

「…カウル殿がいることを批判するつもりはありません、ですがエレインドの当主が…」

「リオナちゃんも直に化けるさ。まだ幼すぎるだけ」


それだけ言ってギフレイルはため息を吐いた。


「さて、今日の会議も平和に進むといいのだけど」


それだけ言ってギフレイルは大きく伸びをした





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