〜・*・〜・*・〜


がらり、と教室のドアが開き担任が入ってくる
少し、深刻そうな顔をして

「えっと、じゃ、ホームルームを始めるぞ
 いきなりだが昨日、夜に外出したやつはいるか?」

ざわ、と喧騒が広がる

「いないならいいんだ
 じゃ、今日の連絡は…」

そして、いつものようにホームルームを始める担任
教室に流れる不穏な空気
その空気を揺らめかせてホームルームは終わっていく──……


「月原、緋雨、金森」

名を呼ばれた3人は顔を上げた

「昼放課に職員室に来てくれ」


〜・*・昼放課・*・〜


「中等部の野球部のエースが襲われた!?」
「だから目撃者を捜してるんだ」

担任は低い声で囁く
剄仁が恐る恐る訊ねる

「襲われた、って一体どういう感じなんですか?その、怪我、したとか?」
「左目に釘が刺さってもう失明したし、左肩も殴られたらしい」
「そん、なっ…!」

武槻や剄仁とおなじ、野球部部員の金森 鎌雅(カナモリ レンガ)が目をむいた

「まぁ、そう言うわけだから
 何かあったら教えてくれ。頼むな」

そう言って軽く一礼した担任に武槻が訊ねた

「その子は、なにも言わなかったんですか?」
「え?あ、ああ
 よく見てない。の一点張りだったそうだ」
「…そうですか」

武槻は口に手を当てて首を捻った






それからずっと何かを考えているらしい武槻
教室に戻っても、机の端を見詰めて考え込んでいる
剄仁は彼を見て困ったような顔をして、武槻の肩を叩いた

「武槻」
「…あ、剄仁」
「あ、じゃねーよ
 お前が心配してなんになんだよ?」
「あ、うん…だって、その…」

言いにくそうに迷ってから、一言

「こんな世の中、イヤだなって」
「まーな…
 中等部のエースつったら、近年稀に見る豪腕投手だろ?なんつったっけ…“瀬川 柳夜”?」

思い出すように頷いて剄仁は続けた

「すげぇ投手だったみてーだな。結構騒いでたし」
「柳夜くん、ねぇ…
 知らない子だなぁ」
「俺も名前しかよく知らねぇな」

「おーい!緋雨!先生が呼んでっぞ!」

「え、まじで!?あんがと!」

クラスメートに呼ばれて剄仁は「行ってくる!」とだけ言い残して走っていく
武槻はいってらっしゃい。と剄仁を手を振って見送り
ふ、と窓の外に視線を送る








──何か、いる









下に見える“真っ白な”少年
髪も、服も、肌もどことなく色白い

一度、瞬きをするとその少年は消えていた

「…?」

武槻は首を傾げていたがその後、校門をくぐった1人の少年を見て目をむいた
左目には痛々しく包帯を巻いた少年で、
左肩を吊っている
それが指し示す事実は、一つだけ

「……もしかして…!」

誰にともなく声をあげると武槻は立ち上がり
教室から飛び出した


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