1人目の少年は夜空を見上げて溜め息をついていた
醜いヒトの心結なんて“無”くなってしまえば善いのに、と密かに願いながら



2人目の少年は血の流れる左肩をおさえて走っていた
自らの背に“翼”が生えていれば全てから逃避できるのに、と考えながら



3人目の少年はパソコンの画面を見詰めて考えていた
自分の考える理想は、永久に叶うことのない“幻”のようだ、と絶望しながら



4人目の少女は携帯を握り締めて迷っていた
頼っちゃダメだ、彼に頼りすぎずに“気”をしっかりもたないと、と考えながら



5人目の少女は枕を抱き締めて塞ぎ込んでいた
人間が“獣”のようにみんな一様な言葉を使うなら、こんなことにはならなかったのに、と思いながら



6人目の少年は自分の無力さを呪っていた
もしあの日、自分に力が、“業”があったのなら妹を助けられたのに、と嘆きながら



7人目の少年は息を切らせて走り続けていた
自分がもっと“疾”く走れたのなら、アイツに追い付けるのに、と自分の足を呪いながら



8人目の少女は決められた人生を歩いていた
庭の“華”を見詰め、彼等のように華々しく散りたいと考えながら



9人目の女性は写真を見詰め妖艶に微笑んでいた
この子を守るためならば自らの“爬(ツメ)”ですら武器にして見せる、と思いながら



10人目の女性はずっと待ち続けていた
自分の役割を告げられた時から、ずっと、ずっと、まるで“巫”女のように占い続けながら





────





少女は一人、顔をあげた
そして何かに応えるように首を横に降り、
少女は膝を曲げ
月の無い夜空へと跳躍した



一跳びで彼女は天を舞う



月の無い夜空を舞う少女は
まるで……


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