pkmn×bsrお試し
※夢主固定名:境ヨシノ
※現代→bsrへの死後トリップ
※夢主は版権既知
※オリジナルキャラクターと喋ってるだけ
「二次元の推しって、二次元だからこそ推せるのであって、三次元で嫁や旦那に欲しいのかと言えば絶対に欲しくないようなキャラクターが多いじゃないですか」
「はあ」
「バサラも例には漏れないんです。現実的に考えて、前田や上杉、徳川……あの辺りは話通じそうだなって希望が持てます。ですからこれからコンタクトを図るのなら希望はそれらです。私のテレビから目線でまことに申し訳ないんですが」
「はあ」
「ところで木兎(ぼくと)さん、今の徳川って豊臣の傘下に入ってたりしますか?」
「ヨシノ殿。某(それがし)俗世にはそれなりに精通していると自認しておりますが、ヨシノ殿のおっしゃることは十の中の一ほどまでしか理解が及びませぬ。徳川は幕府が還された頃に豊臣より謀反いたしました」
「そうなんですね、ありがとうございます」
さすが木兎さんは頼りになる。一割しか分からなかった話の中でもきちんと要点をつまんでくださった。
これからどうしようか、という話をしている。現在地は京都、現状は手詰まり。そも私のスタート地点が『むいちもんでさいしょから』だったのだから、それも当然か。
死んだと思ったら乱世で息を吹き返していた状況、本来いるはずのない魔獣なる生き物が日ノ本に出没する異常。誰も説明してくれないし、することもなかったから、だったら私が自分で探ってみるかと行動を始めた。
そうする中で協力してくれる魔獣、もといポケモンとはそれなりの関係を持つようになった。いわゆるトレーナーと手持ちの繋がりだ。はじめてのひとりであるシュバルゴが一緒に来てくれたときはこの世の優しさの化身こそがシュバルゴなのだと思いました。
木兎さんは行き倒れていたところを拾ったNINJAの方だ。足利義輝の暗殺に失敗した帰りだったらしい。とはいっても帰るところなんてもうないらしい。なのでなりゆきで私の同行者となった。
私がこの世界で目覚めて一ヶ月は経っただろうか。途中で数えるのをやめたのでうろ覚えだ。
「前田、上杉、徳川。この辺りならばヨシノ殿は接触意欲が湧くのですな?」
木兎さんが、先日仲間になったバルチャイの首に手を埋めながら言った。ふかふかしていて気持ちよさそうだ。バルチャイは木兎さんの手持ちだ。
「でしたらこれより前田を訪ねてはどうか。近々京では祭りをやるのだとお聞きしています。前田の風来坊が現れる可能性が濃いですし、よすがにいかがかな」
もっともな意見だ。私も納得がいく。風来坊の祭り好きは、木兎さんのようなキャラクター外の人物にも知れ渡っているのか。信頼性が高いな。
抱いているニャースの喉を撫でる。ゴロゴロとした振動が伝わってくるのは嬉しい限りだ。
「木兎さん、重ねて相談です」
「なんなりと」
「前田ははたして、魔獣の情報に貪欲な姿勢でいらっしゃるのでしょうか」
「うーん、魔獣は日ノ本ではまだまだ未知の生き物ですからな。計りかねまする。出没もそう頻繁ではございませんから、さして相手にしていない国が多いのも事実で……――ふむ」
木兎さんは言葉を途切れさせると、俯いて指先であごを擦った。私の考えていることが分かったらしい。まだ少年と言って差支えない年頃であろうに、木兎さんは聡い。忍者の肩書は伊達ではないということだ。
「ヨシノ殿。前田全体は、魔獣への興味は薄いとみてよろしい。大きく気にしている様子は、今のところ見られない」
私はこう考えている。『私の知恵』を売ることができ、あわよくばそれを餌に協力関係を結ぶ。それができる国があるとするならば、その国はきっと、少なくとも魔獣に一定以上の関心がある国だ。
逆説的に。魔獣に関心がないのなら、その国は私の成せる交渉におそらく不向きだ。世は血を血で洗い、天政奉還が果たされた戦国乱世。魔獣よりも、天を欲しがる国が多いに違いない。いかにして天下を手にしようか目論む国に「魔獣に詳しいから取引をしましょう」と申し出ても、「は?」と眉を潜められるに百ジンバブエドルを賭ける。
「では、魔獣に視線が向いている国は?」
「そうですな……噂程度ではありますが、豊臣や毛利は魔獣を軍に取り込もうとする動きが出ている。狙い目にするならそこかと。……それから」
「それから?」
まだ何か、あるのだろうか。木兎さんは居心地が悪そうに唸った。
バルチャイは彼の背後に回り、器用にもその背によじ登ろうと頑張っている。木兎さんはうしろに腕を回した。バルチャイを抱えてのぼりやすくしてあげているようだ。
「……足利も、興味を持っておりまする。足利義輝本人が、魔獣の存在に浮き足立っておりました。某が直接目にしましたから確実ですな」
オーケー、木兎さん的に言いたくなかったことらしい。足利義輝の暗殺に失敗してここにいるので、嫌な思い出なのだろう。
「ちなみに某のおすすめは、足利以外です」
「私情が入ってますねえ」
へらへら笑っている木兎さんは、「で、いかがされますか?」と気を取り直した。あくまで「足利には赴きたくない」と断じない辺り、人がいい。それでもやっぱり、足利ルートはマズイだろうか。ゲームから見ても、敵意を持って挑まないのなら無害寄りだと思うんだが。木兎さん、私と一緒に行ったら今度こそ仕留められちゃう?
「……徳川を訪ねましょう」
「今までの流れはなんだったのか」
すぐさまキレのいいツッコミが返ってきた。まぁ、うん。言いたいことは分かる。
「まずは徳川で、豊臣の情報を仕入れます。少し前までは傘下にいたんでしょう? 徳川家康は穏やかな気質ですから、こちらから不穏要素を持ちこまない限り殺し合いに転じることもないでしょう。気を付けるべきは戦国最強ですが、彼も徳川家康を盾に取れば大事には至りません」
「なかなか恐ろしいことをおっしゃる」
「あ、盾ってのはそういう意味ではないですね」
言い方が悪かった。木兎さんは「分かっておりますよ」と半笑いで受け止めてくれて、ふたたび思考を始めた。
最初は長話に耳を立てていたニャースは、飽きがきたのか私に寄りかかって寝息を立て始めている。
「ではまずは三河ですかな。某もお付き合い致します」
それは助かる。現地人――日ノ本出身の人間がそばにいてくれるだなんて、力強いことこの上ない。
木兎さんは忍びだから、そのうち寝返ることもあるかもしれない。けどそれはそれ、そのときになって考えようと私は決めている。だって疑うのって疲れるでしょう。社会人になってその辺りは学びましたよ。
「よろしくお願いします。私たちはシュバルゴたちとも平穏な関係を築けていますから、彼の絆意識にもきっと引っかかりますよ」
「打算的なんだよなぁ」
いただいたツッコミに笑って応える。そりゃあこちとら温室育ちの非武装人間ですからね。血を流さないために、使えるものはなんでも使いますよ。べつに犯罪行為じゃあないんだから、問題ありません。
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◆世界観
足利義輝により天政奉還が成された日ノ本。『蛍火』とはパラレルワールド。
最近になって魔獣=ポケモンが出現するようになったが、数自体は少ない。
世間は魔獣よりも創世に首ったけ。しかし魔獣に目を向けている国もちらほら見受けられる。
◆境ヨシノ(sakai yoshino)
20歳・女。背が高く、声も低い。高校卒業後は就職していた。テレビゲーム好き。浅井夫婦といつきちゃんのモンペ。
事故死後、乱世にて蘇生。戦国サバイバルを強いられている。
よみがえった理由を探している。日ノ本に魔獣の存在を認めてからは、日本列島に起きている異変も認知しており、その原因をも探っている。曰く「この辺りの疑問を明かさないと気持ちが悪い」。
後述の木兎と出会う前は女一人旅であったため、自衛を兼ねて男装している。木兎が仲間となった以降も都合のよさから続けている。
ざっくばらんとした性格で物腰は柔らか。割り切りもいいが、平和主義者なので乱世特有のいざこざにはそれなりに疲弊している。ホームシックは軽かった。
手持ちは優しさの化身シュバルゴ、ものひろい要員ニャース。ポケモン世界の道具は大体ニャースが拾ってきて得ている。
◆木兎(bokuto)
16歳・男。女顔。暗殺を生業とする忍びの者。風属性の婆沙羅の使い手。
足利義輝暗殺の任務でしくじり、行き倒れていたところをヨシノに保護された。以降は「帰る宛がないから」と彼女に同行する。
柔軟な性格でひとなつこく女好き。一見踏破らしさは見受けられない。当人も自らを不真面目・忍びとしては不出来と自称しており、何事も八割程度の適当さを好む。
ヨシノとの相性は良好。彼女のざっくりしつつも慎重な姿勢を気に入っている。裏切る予定は特にない。ヨシノの育った時代には率直に憧れている。
手持ちはバルチャイ(のちのバルジーナ)。倒れていた木兎を獲物だと思ってつついていた。
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