楽しい時間




昼頃に総司くんからLINEが来た。
また、碌でもない内容なんだろうと思っていたら、真面目な内容であってびっくりした。
定期試験の近いからわからない内容を教えて欲しいということだった。
トシさんは定時で帰ってきてくれるわけがないので、スタンプで「OK」とだけ送っておいた。


夕方になり、総司くんだけが来るのだと思っていたら平助くんと一くんと、はじめてみる女の子が一緒にやって来た。
その子は、千鶴ちゃんというらしく薄桜鬼学園初の女子生徒らしい。
そんなことトシさんはひとことも教えてくれなかったから、少しモヤモヤしてしまい顔が強張っていないか心配だ。



「総司くん、他の子も一緒なら一緒って言ってよね」

「たまたまですよ。僕がたまたま怜奈さんのところで勉強するって言ったら、みんなが付いてきただけですよ」

「総司が怜奈さんに迷惑掛けないか、見張りも兼ねて来ました」

「一くんは本当にいい子だから好きよ。それに、平助くんは今回もテスト、ヤバイの?」


玄関前で会話しているのもなんだから、リビングに通した。
総司くんはズカズカと入ってくるものだから、呆れるしかない。
席についてもらい、各々の勉強を始めてもらった。わからない問題があったときだけ呼んでもらうようにして、夕飯の支度に取り掛かると言ってもこの人数だからな…と考えて、思いついたのが焼肉だ。
そのため、家にある野菜を揃え肉については買い物に行くしかない。
少しの間、離れるが一くんがいるから大丈夫だと思って買い物に行く胸を伝えると総司くんが「僕も一緒に行く」と言い始めるから一くんが止めに入る。


「怜奈さんが困っているではないか。それに、俺たちは夕飯までには帰ります」

「一くん、そんなこと言わないで。私は一くんたちと夕飯が食べたいの。だから、待っててね」


一くんを座らせて、仕方ないから総司くんを買い物に連れて行った。
大人しくしていることと、荷物持ちを条件にだけれど。
本当に総司くんは買い物中大人しくしていて、たまに「これ土方さん好きだから焼きましょうよ」とか「このプリン土方さん好きなんですよ」と、言ってくるから買い物かごにそれらの商品をついつい入れてしまうくらいだった。



「ただいまーっ。あっ、トシさん帰っていたんですね。おかえりなさい」

「ああ、それにしても随分客が多いじゃねぇか」

「そうなんですよ。僕がただ怜奈さんに勉強見てもらおうとしただけで、みんなが付いて来たんですよ」

「総司、テメェが元凶か」

「そんなこと言わないであげてください。総司くんたちちゃんと勉強してましたよ。それに、今日は大勢で夕飯が食べられるんですよ。楽しみですね」


言ってから気づいたけれど、トシさんは大勢で夕飯を食べるのが好きではないのかもしれない。
それでも、食卓についてしまえば、トシさんの顔は穏やかになっている。
総司くんがトシさんをからかわない限り、楽しい夕食の時間が過ぎた。
皆が帰ってから、珈琲をそっと出すと「急に静かになって寂しくないか?」と、聞いてくるから「トシさんがいるから大丈夫ですよ」と返せば、テーブルに伏せてしまったから、どうしたものだろう。
そんなトシさんを放置して、お風呂の準備に取り掛かった。


20151211

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