僕のやさしいフェアリーテイル


たまたま官舎入口で三葉ちゃんに会ったことが、ちょっと嬉しくて少し時間をもらって髪型を変えさせてもらった。
ツインテールの三葉ちゃんをみていると学生時代の葵さんを思い出す。
でも、葵さんは美人で三葉ちゃんは可愛い。姉妹なのに極端に違うからそこが好きなんだけれど、なかなか会えないから会えると嬉しくなって可愛がってしまう。


「カレンさん、これって…」

「似合ってる。ポニーテールの三葉ちゃん見てみたかったの。そうだ、このリボンも付けちゃおうか」

「それは、暮人様からのプレゼントじゃないんですか」

「これに暮人様は関係ないよ。これは、私が選んだものだから気にしないでね。あっ、でも私が付けていたのは嫌よね」

「そ、そそんなことはないです」


顔を赤くしながら了承してくれる三葉ちゃんが本当に可愛い。
思わずぎゅーっと抱きしめてしまったら「うわぁわわわわ」と叫ばれてしまったから、近くを通る人たちからは何事かと思われてしまい、私まで恥ずかしくなってしまった。
葵さんは羨ましいな。こんなに可愛い妹がいて。
私の愚弟と交換してくれないかな、と思いながら、ポニーテールにしてから青いリボンをする。
綺麗な金髪によく似合っている。
青いリボンはあまりしないようにしていたから、三葉ちゃんに似合ってよかった。


「綺麗、そのリボンあげる」

「そ、そんなダメですよ。カノンさんが折角買ったものなのに」

「いいの。このリボンしていると暮人様少し機嫌が悪くなってしまうから、使ってくれる子がいる方がいいの」


そう言うと、ちょっと困ったような嬉しそうな複雑そうな顔をされてしまう。
そんな顔されると、こっちまで釣られて同じような顔になる。


「でも、私はカレンさんに何かを貰うようなことを」

「そんなこと気にしないで。私は三葉ちゃんみたいな妹が欲しかったの。だから、私の我儘に少しだけ付き合って」

「…はい」


照れた笑顔で返事を返してくれる三葉ちゃんが可愛くて、撫でたくなったけれど髪が乱れちゃうからやめた。
微笑ましくその姿を見ていたら「カレンが妹を欲しがっていたとは初耳だな」後ろから聞こえてきた声に反応して叫んでしまうと、三葉ちゃんは腰を抜かして驚いている。
後ろを振り向けば、葵さんを引き連れた暮人様がいた。
驚きと緊張で「暮人様、姉様!!」と、少し声が上ずっている三葉ちゃんのことなど眼中にないような暮人様の態度にちょっとムスっとしてします。


「なら、うちにはシノアがいるだろ。あいつは俺の可愛い妹だぞ」

「シノアちゃんも可愛いです。でも、三葉ちゃんも可愛いんですよ。こんなに照れちゃって。葵さんが羨ましい」

「はあ、そうですか。三葉が迷惑かけていませんか」

「迷惑だなんて、私の我儘に付き合ってもらっているところなんですよ」

「そのリボン、まだ付けていたのか」

「…先程までは。これは今日から三葉ちゃんの物になりました」


「そうか。三葉に似合っているな」


三葉ちゃんに付けてあげたリボンに反応して少し不機嫌になるも、あげたと言えばすぐに機嫌が戻る暮人様は、本当は単純なん方なんじゃないだろうかと思ってしまう。
それでも、この変化に気づく人は私とグレンくらいかもしれないな。
突然、暮人様に褒めたら三葉ちゃんは「ありがとうございます」と言いながらも、戸惑い葵さんに助けを求めていた。
葵さんも視線に気付いたようで「暮人様そろそろ」と言っていたから仕事から抜けてきたようだ。


「あとで、新しい物を買ってやる。青はダメだ」

「わかっていますよ。深夜様の色ですものね」

「…」


私の言葉を聞いた三葉ちゃんが、さっきの会話を思い出したらしくて、ちょっと慌てていて可愛い。
そんな三葉ちゃんをただ眺めている葵さんに対して暮人様も何か贈り物をされたらいいのにと思ってしまった。


「暮人様が選んでくださる物、楽しみにしていますね。あと、葵さんに何か差し上げてください」

「…私にですか」

「ええ、それくらいしてくれますよね?」

「部下を労うのも俺の仕事だからな」


葵さんが少し嬉しそうな顔をしているから、よかった。思い出したように「暮人様、執務のほうはよろしいのでしょうか?」と聞いてみると「いまから戻る」とだけ言われた。
それにしても、どうして暮人様がこのような場所に来たのかはわからなかったけれど姿が見えなくなるまで見送ることが出来たのは、ちょっとだけ嬉しい。

後日、赤いリボンと可愛いハート型のネックレスを暮人様から贈られてきた。
直接渡してくれてもいいのにと思いながらも、お礼を言いに暮人様がいるであろう部屋に向かう私も単純なんだろうな。


20150521
Title:リラン
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