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お揃いを欲しがる

「兼さんのピアス綺麗だよね。堀川くんとお揃いの赤で」

「まあ、なんつーんだろうな国広が無理やりって言うかな」

「それでも、綺麗。綺麗な赤。私も似た物見つけようかな」


そう言いながら、髪をそっとかき揚げる姿が魅力的で惚れ惚れしていると「どうしたの?」と覗き込んでくる。
新しい俺の主はどうも男の扱いがうまいらしい。また、前の主は女の扱いはうまかった。
そう思うと、俺が主とする人たちは別の性に対しての扱いがうまいことになる。
「ぼーっとしちゃって、流行りの刀がカッコよくないよ」と、燭台切が言いそうなことを平気で言ってくるため胸がモヤモヤして仕方ない。


「あっ、でもお揃いになるのは堀川くんのほうかな」

「まあ、そうだろうな。俺と似た物は見つからないだろうしな」

「本当だよね。そんな形のピアス、兼さん現れてからはじめて見たもの。だから、不思議と惹かれるのかな。無いものが欲しいって気持ちわかる?」

「まあ、な。なら主、片方やる」


突然の言葉に主は驚いた顔をする。
そして、すぐに「それは、兼さんのだからいいよ」と穏やかな顔で断って来る。
それを見ていると、こっちが照れてきてしまった。
主が頬をぐりぐりと人差指で突っつくのを振り払う気にもならなかった。


20160426



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