小説 | ナノ
怖がりな審神者

我が本丸にテレビが届いた。
数日前に短刀用テレビを買い与え、私用のテレビだけあれば十分だと思っていたら、打刀たち(清光あたり)からブーイングが起きた。
粟田口さんたち(脇差打刀含め)は仲良く一緒に見ているらしいよ。(一期談)
たまに、蛍ちゃんがいたりと子供部屋化しているみたいだ。
しょうがないから、テレビを購入してやることにしたんだけれども何故か初見で心霊番組なんて見ているのかわからない。
短刀たちが寝静まったからって何で心霊番組チョイスしてるの???付喪神なんて、そもそも幽霊みたいな存在なのに、何で同族なんかの番組てるの???わけがわからない。

清光が右横を陣取って私の腕にしがみつき、左横では歌仙が「雅じゃない」と、わけのわからない言葉を発している。
心霊番組に雅もあったものかと、すごい突っ込みたくなった。
てか、このふたり怖がっている癖に何で見ているのかな。
怖いなら私と一緒に寝ようよ。


「ねえ、もうこんな番組みるのやめようよ」

「なかなか面白いじゃないか」

「鶴丸、ふざけるなよ。おい、怖がりな私のこと考えてみろよ。幽霊騒動何回起こしたと思ってる」

「そう言えば、莉玖はいつも叫んでいるよな」

「莉玖様、もう寝よう」

「清光よく言った。寝ようじゃないか」

「でも、怖いから一緒に寝てくれる?」


頷こうとした瞬間に「それは、無理なお願いだろう」と兼さんこと和泉守が口を出してくる。
無理とかないから、むしろここから早く追い出して欲しいよ。
そこで、目があったのは少女の霊を斬って神剣になれないと嘆いていたにっかり青江だ。
怖がりな私が考えたことは、青江を道連れにすればいいんじゃないかってことだよ。
だって、清光は本当に怖がりで私にとっては弟みたいな刀だから可哀想になってくる。


「ねえ、ねえ、青江。私と清光を部屋まで送ってくれない?」

「待て待て、俺は加州を連れて行くは反対だからな」

「もう、兼さんは。加州くんは僕たちと一緒に寝よう」


何故か清光は私から引き離されてしまい右腕のぬくもりは消えてしまった。
そのため、目線だけで青江を呼びつける。


「なんだい?」

「いやいや、この状況からわかるよね。過去に少女の霊を斬ったと言われている青江なら私を守ってくれるでしょ、ね?」

「参ったな、それを出されて、主を守ることになるとは」

「こんなに頼りになる刀がいるとは私は嬉しいよ。ほら、青江。部屋に行こう。じゃあ、みんなおやすみ」


青江の手を引いて部屋をでると、「置いてかないで、莉玖様ぁああああああ」と清光の叫び声が聞こえてきたため、心から「ごめんね」って清光に謝る。
風で木がざわめく音が聞こえて「ぎゃああああああああああ」と青江にしがみつくと「もう少し、女の子らしい声は出せないのかな」と言われるが、恐怖でそんな女子力発揮しろなんて無理だよ。
抗議すればおもしろかったらしく笑っている。


「まあ、こんなに怖がる主をほうって置くのは忍びないから、今夜だけはそばに控えさせてもらうよ」

「あ、ありがとう」


青江にしがみつきながら部屋までたどり着いたのはいいけれど、やっぱり怖くて青江の裾を握りながら寝ることになったのは言うまでもない。
次の朝、目覚めれば青江がにっかりと笑っていたために、思わず叫んでしまい大勢が私の部屋に集合してしまった。


20150720



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