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結婚相手について語る

「莉玖様―――っ!!」と乱が私の名前を呼びながら廊下を走りながら部屋にやってくるのがわかった。
この前、あげたティーン雑誌のことかな?と思いながら光忠に特別にもらった団子を食べながらのっそりと布団から出る。
ちょうど、乱が部屋に入ってきながら「あっ、ズルい。僕にもちょうだい」なんて可愛く言ってくるものだから、ついつい甘やかしたくなる。


「そのお団子どうしたの?」

「光忠がくれた。何か、あまり?とか言ってような気がする」

「ふーん、光忠さんって莉玖様には甘いよね」

「そう?私からしたら、短刀たちにも甘いと思うよけど」

「違うよ」


頬を膨らませながら言ってくるあたりが本当に可愛い。
刀剣男子なんって言われている彼らの中の紅一点的存在だよな。
本当に、こんな可愛い子あんな狼たちの中に放置しておくのはいけない気がするから、あとで一期と話し合おう。
「ねえ、聞いてるの?」

「ああ、それで、何でここまで来たの?」

「この雑誌に結婚するのに理想の男性って特集があったんだけど、莉玖様はこの本丸にいる中で誰がいい?」


質問を質問で返しながら会話が成り立つあたりが女子だと思う。
てか、そんな特集あったのか。しかし、そのネタに食いついてくるとは思わなかったな。


「まあ、乱。乱、なら誰がいいの?」

「いち兄がいい。だって、優しいんだもん」

「他にも沢山いるじゃない。岩融とか蜻蛉切とか長谷部とか光忠とか」

「長谷部さんと光忠さんは、どっちかっていうと莉玖様に構ってると思う」

「何ですと」

「だって、このお団子もあまりとか言って絶対にあまりじゃないよ!!だって、初めて見たもん」


えっ、どういうこと。乱に詳しく聞くところ私がいる日といない日では少し料理の味からメニューまで違うらしい。
それに、布団でぐだぐだしてても注意されないのは私だけだと。
何だか甘やかされてダメ人間になりそうなんだけど。


「それを踏まえて誰がいいの?」

「んんー、第一印象なら光忠かな。それに、なんか包容力ぽいのあるしね。でも、蜻蛉切もいいかもしれない」

「長谷部さんは?」

「長谷部は忠犬。何でもやってくれる感じだよね」

「あっ、わかるかも!!」


キャーキャー騒いでいたら、何事かと光忠と長谷部がやって来る。
何か、仲いいよなって思いながら見ていると乱が「本当に忠犬だ」なんて言うから、慌てて口を抑える。
「莉玖様、忠犬とは?」なんて聞いてくるあたりからすると、聞こえてたんだ。
はぐらかすのにもはぐらかせず、たじろいでいると光忠が乱が見ていた雑誌に目を落としながら「もしかして、この特集のことかな…?」と言うから、たちまち雑誌が長谷部の元に行く。


「もしや、莉玖様。誰かと結婚するのですか?」

「なぜ、そこまで話が飛躍する」

「やっぱり、長谷部さんが可哀想だよ。光忠さんと蜻蛉切さんはやめて長谷部さんにしたほうがいいよ。きっと、幸せ…だよ?」


乱の最後が疑問文で終わったのはよくわからないけれど、光忠が居る前でそんなこと言わないで欲しかった。
だって、光忠が驚きながらも少し嬉しそうなんだもの。
いまにでも抱きしめてきそうな勢いだし。


「どして、此奴なんですか!!私ではダメなのですか」

「えっ、そこ。長谷部―っ、めんどくさい男は嫌われるよ。光忠くらいの甘やかし具合がちょうどいいの」

「えっ、気づいてたの?」

「乱から聞いた。でも、乱のこと責めないでね。責めたら、ずっと一期を近侍にするから以上」


それだけ伝えて部屋から追い出すことに成功した。
夕飯の時間まで乱と理想の夫婦生活について話し合った。


20150701



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