共依存


※日本人夢主

ホグワーツに来ることが私にとっての名誉になると、入学書を届けに来たスラグホーン先生に言われた。
女学校もそこそこ楽しかった私からすれば、英国という異国の地に魅力はなかった。
英国に留学するのは男子だけに限定されたようなものだ。
津田塾創設者でる津田梅子さんのような外への好奇心など私にはなかった。
このまま、私は日本という国で天皇陛下の臣民として一生を終える気持ちでいた。
そんな中、私の光となりえたのは、トム・M・リドルだった。
人種差別など、日常茶飯事に行われていたこのホグワーツで私を助けてくれた唯一の存在。
スリザリンの寮監。
彼は全てにおいて完璧であった。
そんな彼の周囲はいつもたくさんの人に囲まれていた。彼が私に興味を持ったのはアジア系だからだろう。
それ以外で彼の興味を惹く理由はない。


「Hi.ジェミニー」

「Hi.トム」

「最近、変わったことは起きてないかい?」

「ええ、トムのおかげで快適な生活を送れてるわ」

「そうかい。なら、よかったよ。君は日本では純血の家系に属しているんだろう」

「純血かはわからないけど、名家とは言われているわ」

「そうか。このスリザリンはいま純血主義の者が多いから君のような東洋人は目立つから、心配だよ」

「いつもありがとう、トム。あなたが色々と手助けしてくれるお陰で私は皆から何もされないのかもしれないわ」

「そんなことはないよ。僕は寮監として当たり前のことをしているだけだよ」


そうトム・M・リドルは完璧なのだ。
誰から見ても非の打ち所ない優等生。
それは、見ていて気持ち悪いものでしかなかった。
この違和感を誰も感じることが出来ないなんて、なんて愚かな者しかいないんだろうと、私を蔑んでいた者たちを蔑み返すことし出来ない。
スリザリン生はトムが私のことを気にかけているため手出しすることも出来ずに、表面上は友好的に振る舞っている。


「そうだ。クリスマス休暇は帰国しないと聞いたからよかったら僕と過ごさない?」

「ありがとう。考えておくわ。トムはとても魅力的だから、私だけがあなたを独占してしまっても他の子に申し訳ないわ」

「ジェミニーはその遠慮する癖をやめるべきだよ。それにもっと甘えてくれて構わない」


トムに甘える?そもそも私とトムの関係はただの学友というだけのはずなのに、さっきから何を言っているのだろう。
少し困った顔をすれば、トムも困ったようだ。


「前向きに検討するからそんな顔しないで」


そう答えれば、彼は美しく笑う。
とても整ったその顔は誰をも魅了する。
私もその顔に魅了されたひとりなのだから。
それに、この異国の地で私に優しくしてくれるのはトムただひとりなのだ。
だから、私がトムを拒むことはあまりない。
きっと彼もそれに気付いたのだろう。
だから、甘えて欲しいと言われずとも私はトムに甘えてる。
その事実に彼がまだ気付いていないわけはない。
彼はとてつもなく頭がいいのだから。
お互いこのことには触れない。
触れない方が互いのためだと知っているから。
だから、私の光であるトム・M・リドルの違和感には見てみぬ振りをするのだ。


20181126


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