まるで大人みたいにずるいのね


眠い。そう思いながら、図書室で寝ていたら、誰かがローブをかけてくれた。
優しい人がこの学校にもいるんだなと思いながら、心地よさに負けて寝てしまった。
夕食前にレギュラスが私を起こしに来てくれたから夕食は食べることができたけれど、
ローブをかけてくれた人はどうしたのだろう。
きっと、まだ図書室にいるんじゃないかなと思いはやく夕食を食べて図書室に向かう。
まだ、いるのならお礼が言いたい。
そう思いながら向かったけれど、既に図書室は閉館していた。
仕方がないから寮に戻れば、談話室でレギュラスが囲まれているのが目に入る。
困った顔をしている彼を助けようとも思ったけれど、レギュラスの取り巻きたちが怖いから助けたくない。
この寮でレギュラスの取り巻きをするが、何故か流行っている。と、いうよりもブラック家の恩恵を受けたいだけなんだろう。
同じブラック家でも私には取り巻きなんていない。流石は本家様といった感じだ。
見て見ぬ振りをして、部屋へ向かおうとすれば「ジェニー、探していだんですよ」と談話室の中心人物だったレギュラスに話しかけられた。
彼は私を利用するのが上手だと常々感じていた。


「何、レギュラス?今度のホグズミードのこと?」

「それもありますが、クリスマス休暇中何か予定はありますか」

「ん、特に予定ないよ」

「なら、うちに来ませんか。母上や父上もジェミニーに会いたがっています」

「私も叔父様たちに会いたいから行こうかな。それに、レギュラスといたら退屈しなそうだしね」

「ええ、退屈はさせません」


じゃっと、レギュラスと別れて部屋に戻れば、ローブを返し損ねたこと思い出した。
同じスリザリンということはわかっているが、私にローブを貸してくれるお人好しなんているのだろうか、と考えてみるとふたりだけ該当者がいる。
クラウチとレギュラスだ。
レギュラスは婚約者でもあるし、幼い頃からお互いを知っている仲のためか、私に甘い。
クラウチは授業がよく被り隣に座ることが多く、それで仲良くなった。ホグワーツで出来た気の許せる初めての友達でもある。
ローブの下の方に目が向かえば、RABと刺繍がされている。
ああ、これはレギュラスのローブだったのか。
だったら、さっき言ってくれればよかったのに。
何で何も言わないのだろうと考えても、レギュラスの考えることは私にはわからない。
クリスマス休暇まで、あと少し。
こんな寒い時期にローブなしでいいとでも思っているのだろうか。
少しだけ、レギュラスに意地悪しようかと思いローブに刺繍されているRABに気づかない振りをして、明日からこのローブを少しの間だけど、着用しよう。



***



朝食の時間になり、大広間へ向かえばレギュラスはローブを纏っていなかった。
冷えるのに、寒さを感じさせないような顔をしているけれど私からすれば、何でそんなに我慢するの?だった。
私にひとこと言ってくれればいいのに。「それは、僕のですよ」って。
優しいレギュラスはそんなことを言わないってわかっているから、尚更言ってほしい。
たまには自分を優先してもいいのに、それをしないレギュラスに腹が立ってしまう。
私に気付いたのか「ジェミニー、隣空いてますよ」と言われ、誰がレギュラスの隣に座るか、と思っていたがこの時間は大広間が混雑していて席が空いていない。
仕方がないから、レギュラスの隣に座る。


「今日は寒いですね。今年、一番の冷えみたいですから気を付けてください」

「レギュラスもね。それにしても、ローブはどうしたの?」


わかっていてこの質問を投げかける私は意地悪だと思う。
でも、レギュラスの反応が気になる。


「あなたが一番わかっているはずですよ、ジェミニー。寒いので僕もローブに入れてください」

「えっ、ちょっとレギュラス。食べにくいよ」

「食べにくいなら僕が食べさせますよ」


さっそくパンを私の口に運ばせるところを見る限りにレギュラスは、私がレギュラスのローブを纏って来るのを予想していたようだ。
まったく、レギュラスは私の予想の斜め上を行くようだ。
そんな私は大人しくレギュラスの肩にローブを掛ける。



20151223
Title:寡黙


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -