君を縛るふりをして僕を縛って


「レギュラス」

「あなたですか。学校では話し掛けないでもらえますか」


冷たくあしらわれてしまうのも、私がグリフィンドールだから。
きっと、スリザリンならこんな言い方されないだろう。
レギュラスはスリザリンの人気者だから、取り巻き連中がうるさいんだろうな。
優しいレギュラだから、私のことを守ろうとしてくれる。
それが、とても嬉しくなるのと同時につまらない。


「ねぇ、レギュラス。そんなつまらない人たちと一緒にいて何が楽しいの?」

「ジェミニー、言葉を慎みなさい」

「だって、本当のことでしょ。ブラック家の家名に群がるような害虫は、あなたには相応しくないの」


悪い癖だと思いながらも、レギュラスは優しく諭すだけ。
きつく注意されることは今まで一度もなかった。
きっと、レギュラス自身も思っていることなんだろう。


「そうだ。おば様から預かったものがあるの」

「母からですか」


あまり、嬉しそうな顔をしないのは、シリウスにたいしてなのか私にはわからないけれど、シリウスがグリフィンドールに入ってから、あの家は一段と仲が悪くなったと思う。
おば様は家督をレギュラス譲るようにしたみたいだから、その負担からかレギュラスはおば様の前では笑顔が張り付いて、正直気持ち悪い。
それくらい、負担なんだろう。
そんな人の名前が私の口から発せられることが不快なのか、顔をしかめている。


「変な物じゃないわよ。レギュラスは母親思いの子だからって、おば様からクィディッチWカップのチケットを預かったの」

「これを母が」


静かに頷けば、すごく驚いている。
それも、そうか。あの母親はレギュラスに対してというよりも、ブラック家という家系に縛られているような人だから。
それなりに、厳しい躾をされたようだ。


「そうよ。レギュラスの優秀ぷりを話したら、くださったのよ」

「やっぱり、仕掛けたのですね」

「それくらいしないと、レギュラスとは出掛けられないのでしょ。だって、学校では話しかけるなって言うし…」

「それでも、あなたは話しかけてくるじゃないですか」


そう言われてしまえ仕方がないが、レギュラスとゆっくりと過ごしたいし、どこかに出掛けたい。
だから、私がおば様に頼んだようなものだ。


「レギュラスは、私と行きたくないの?」

「行きたくないわけないでしょ、ジェミニーとだからこそ行きたいですよ。…あまり、恥ずかしいことを言わせないでください」

「ふふっ、かわいい」


私だけのレギュラス。
その全てを手にいれることが出来るのなら、私は何だってしようではないか。
それが、私とレギュラスにとって有益になるのなら。



20140701
Title:彼女の為に泣いた


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