艶かしい水没
※不老な先生
「ウィーズリーって綺麗な顔しているわね」
彼女はそう言いながら笑う。いつも、そうだ。
その言葉、僕を見る瞳の奥には僕じゃない他の誰かが映されている。
「ライリー先生はどうして僕をここに呼ぶんですか?」
ただの疑問だ。
いつも、いつもグリフィンドールの僕を呼ぶ。先生はスリザリンなのに何でだ。
それは自然な疑問である。
「探究心があることはいいことですよ。でもね、あまり私のことで詮索はしないで頂戴」
「それでも、僕は知りたいんです。先生はスリザリンなのにグリフィンドールの僕を呼なんて」
「スラグホーン先生は寮は問わずにお気に入りの生徒はいましたよ」
「僕はその先生を知りません。それに、ライリー先生の場合は僕だけを特別扱いする」
「…あなたを見ていると思い出すから」
そっと頬を撫でる手つきが優しいものだと気づけばなにも言えなくなってしまう。
彼女はとても悲しそうで、そして愛おしそうな瞳を向けている。
そんな彼女をどう振り切ることができるか。
「…誰を思い出すのですか?」
「それはね、私の知っている中で一番強くてとても美しく滑稽なスリザリンの継承者」
ああ、僕は聞いてはいけないことを聞いてしまったんだ。
彼女が美しいと思うのはその人だけで、僕を綺麗と称するのはその人に勝つことはできないと遠まわしに言われているのだから。
きっと、彼女は僕がどんな美しいと称されても綺麗という言葉だけを当てはめ、美しいと称するのは、スリザリンの継承者であるその人だけなんだ。
「ライリー先生、僕はその人を越えられますか?」
「そんなこと、できないわ。あの人は私にとって最高な魔法使いだから」
綺麗に笑う彼女を見て思う。
僕はいつしか、ライリー先生に魅力に惹かれてしまったんだ。
スリザリンらしい魔女であるこの人。
20140314
Title:リラン