※入れ替わりネタでの性交渉・(肉体的な)受けるぎ・攻めヒロイン等特殊傾向注意






「…で、だ。早急にこの状態をなんとかしなければならない」



頬に滑り落ちてくる髪をばさりと煩わしげに払いながらきっちりとした黒のスーツ姿――スカートはやや法曹職にしては短すぎる気がしなくもないが―の女は苛立たしげに腕を組み、眉間に皺を何本も刻んだまま言葉を吐く。向かい合うように立つワインレッドのスラックスに黒のベストを身に着けて同じくスーツ姿の背の高い男―貴族のようなヒラヒラのクラバットが特徴的だが、そちらも同じように腕を組んだまま心底やってられないといった表情で顔を歪ませため息をつく。「ほんと信じらんない、なにこれ。なんとかするもなにも一体なんでこうなったの」「知るかッ!だがこのままでいるわけにもいくまい、外部の人間に漏れたら厄介極まりないし君の午後の公判は―」「午後の公判なら私の執務室に全部あるから大丈夫だよ、それより怜侍は?外に捜査にいくんじゃなかったの?」「ああ…そうだったな。私の捜査メモを渡しておく、あとこれが今まで集めた証拠―――待て」女はがさがさと『御剣怜侍』のプレートが置かれた豪奢な机を引き出すが、そこで信じられないものを見るような顔で背の高く全体的に紅い男を見上げた。「待て。君はまさか、その姿のまま仕事をする気か」「する気もなにも…昼休みが終わったらどうするの?戻らなきゃいけないじゃん」「そ、そんな一般的な話をしているわけではない!……少し待て。落ち着きたまえ。君がその姿で、その、イトノコギリ刑事と行動したり成歩堂の事務所に行くには大いに問題がある」「私結構怜侍の真似上手いよ?大丈夫大丈夫、…ごほん。『そのようなアレは困る』」「やめろ」



「…き、君にだけは決して任せられん!余計な真似をするに決まっているではないか!」「なっ…ひどい、人のことをなんだと…いくらなんでも仕事中にそんなことしません!…仕事中には」にやにやと男は冷たい端正な顔を邪悪に歪めて笑い、その様に女は色めきたって詰め寄ろうとする―が、「、っ!」――がくんと床に吸い寄せられるように身体が崩れ落ちる。それをとっさに男が引き寄せるように支え、呆れ顔で女の顔を覗き込んだ。「そんなヒールで歩き回ったことないでしょ?無理無理」「な、ぐ、っっ……ぬ、脱ぐッ!」「むむ無茶言わないでよ!絶対その辺の室内用サンダルとかそういうもの探して履いて出歩いたりしないでね!私の沽券に係わるんだから」「い、一日だけではないか!その程度の恥―」「今日当たる弁護士にそんな姿見られたら私はもうそういう検事として記憶に固定されちゃうでしょう?!絶対嫌だからね!」「ぐ…」そう告げられた女の方がひどくプライドを傷つけられたような顔で、しかし身体を引こうとするが―「…離したまえ」離れない。「……怜侍すっごく小さいね。それに弱い」「それは…仕方ないだろう、君の身体なのだから」「へえ、いつもこんな感じなんだ…ふうん」「ッ…おい、腕にそんなに力を籠めるな、痛いではないか」「なにが?別にわたしいつもと同じくらいの力で怜侍の腕に絡みついてるだけだけど。そんなに違う?」男は愉しげに目を細め、顔を背けた女の顎を片手で掴み自分に向けて乱暴に引き寄せる。「な―何を、やめろ…」女が必死に男の腕を抑えようとしながら睨みつける。が、男は面白そうに息を吐いただけに留まった。「まあ私の顔なんて正直見たくもないけど―怒ったカオとかちゃんと怜侍だね。新鮮でちょっと可愛い」「何を呑気なことを言ってるんだ君は!離せッ…」「―――面白いこと思いついた。付き合ってくれない?」「絶対に嫌だ。どうせ碌でもないことだ、いいからさっさと私を―」男が顎を掴んだまま女のその口をしっかりと、唇で塞いでしまう。威圧するように唇を食み、女は抗議するように男のベストを握りしめ押しのけようとするが何の効果もなく―ただただたっぷりとキスされていくだけだ。いつの間にか後頭部を取られ、彼女は苦しげに合間で必死に息をさせてもらうだけで精一杯で、男は必死に逃げようとする彼女をせせら笑うように瞼を絞る。



「思った通りかも」「…っは、はあ、はっ…キサマ、よくも……」「ヒドいなあ。貴様なんて。怜侍相手が私だって忘れてない?」「忘れるものか――あ、そこまで品の無いキスをしながら人の顔を覗き込む癖がある女など、知る限りき、みくらいだ、間違いなくッ」「ハイハイ失礼しました。ああしかし舌が長いって便利だなあ…ね、すごいね、あんなに奥まで入るなんて初めて」「…知ってはいたが君の口はすこし小さすぎるうえになんだこの舌の短さは!これでは息さえままならない―」「そうなの。誰かさんがいつも調子に乗って色々するじゃない?私毎回酷い目に合うんだよね」男がため息交じりにそう軽口を叩けば、女は顔を赤らめてぎりぎりと唇を噛んだ。それを楽しそうに見ながら男はごそごそと自分の身体を探り、嬉しそうにじゃらりとそれを引っ張り出し―女は目を見開いて本格的に身を捩り始める。「あーったあった、絶対今日は持ってると思ってたんだ。イトノコ刑事に感謝しなきゃ」「キ、サマいい加減にしろ!それ以上私におかしなことをしてみろ、通報す―」「今この状況で通報して最終的に一番困るのは誰だろうね?」意に介さずといった声で男は簡単に手錠のロックを開き、彼女を後ろ手に拘束したまま机の上に押し倒す―「大丈夫だってば。怜侍がいつもしてることだよ」男はまったくその冷たさとパーツの美しさからみて彫刻と呼んでもいい顔に―それはそれはよく似合う、人を玩具とみなし弄ぶような残酷さを乗せた愉悦の表情を浮かべ、女はその冷たい顔にまったく似合いすぎる―自分の置かれた状況を未だに飲み込めないまま男を支配を憎み切った、気高い屈辱を訴える表情を浮かべてそれを睨みつけた。



「つまりこれって怜侍を犯していいってことだもんね?……最高」男は女の、くっきりと人工的な孔が幾つもこじ開けられている白い耳をべろり、と舐めながら言葉を刷り込むように落としていく。彼女はそれだけで身を震わせ―「…信じ難い、ことだ。自分を抱くなどどうかしている」「でも中身は私じゃないもの。なのに身体が自分の物――それってすごく便利じゃない?どうすればいいか全部わかるし、どういうことしても構わない」たとえばほら、と男は事も無げに彼女の二の腕をぎりぎりと締め上げるように握りだす。それだけのことでも彼女は苦痛にハッキリと顔を歪め、苦しげに呻き始めた。「――ぁ、がッ…」「痛い?ごめんね、今だけだから」「や、めろ…自分の身体を、無駄に傷つけるな…」「……今言っても、痛いのやだって意味にしか聞こえないよ。私は『怜侍』につけられる傷ならなんてことない」男は初めて朗らかに、邪気を含まず笑って女の頭を撫でてみせる。女は打ちひしがれたような顔でそれを見返すが、男はやはり追い打ちをかけるように――「痛いの嫌なら、ちゃんとお願いして」――女の正義感をくすぐるように、彼女のその反応を待っていたかのように繋げた。「あ…」「怜侍が嫌なら、しないけど。私は別に構わないから、こういうセックスしちゃおっかなって」「それは…く、っ……」「どうする?」「……、っ………い、たく、しないで、…ほしい」



女が苦々しげに顔を背け、男はにっこりと笑って額にキスを一つ落とす。「いい子だね、怜侍。優しくて」「クソっ…よくも…」「いっぱい可愛がってあげる」そう言って易々と―たいへん紳士的に、丁寧に男が女のシャツを緩めていく。彼女は既に観念したように目を閉じなるべく無表情を作ろうとするが、かぷりと盛り上がった胸に噛み付かれたところで思わず眉根を寄せてしまう。「ん、…おなまえ」そこを丹念に舐めながら簡単に下着のホックは外され、たぷんと片胸を揉みながら片側を噛まれ、乳輪ごと食べられるかのような動きに彼女は咄嗟に口を抑えようと手錠を鳴らす――が唇を強く噛むわけにもいかず、ぎりぎりと歯を食いしばるしかない。彼女は―怜侍は苛立っていた。なんだってこんなに、情けない声が簡単に出そうになるんだ。蕩けるような、揺さぶられるような甘い快感がゆっくりと胸から広がって脳を柔らかく伸ばされていくような感覚――少しでも気を抜けば簡単に身を委ねたくなってしまう。ぼんやりとした心地良さが眠気のように理性に靄をかけてくる。「…そんなに気持ちいい?」「い、いわけ…が…ん、っ…ぁ……」―ぞくぞく、する。揉まれたり舐められるのはゆるゆると気分が柔らかくなるし、その中でたまに乳首を抓られたり噛まれるとそこから引き戻されるように痛みを伴った快感が突き抜けて、抗う間もなく声が出る。彼女はすっかりその落差に翻弄され、胸だけで足での抵抗さえ忘れるほど身体を弛緩させていた。「あ―ぁ、っ、やめ、ろ」「まあ、こっちは受け入れやすいのかな?怜侍にもあるもんね」――なら、と男が唇で笑いするりと下に手を伸ばし、彼女は息を呑んで足を閉じようとする―



ぴ、と机に置かれていた万年筆状のボールペンが黒いストッキングの布地を細く裂く。「――っ!」彼女がびくんと跳ねて閉じきれなかった足を震わせた。しっとりと湿った下着に触れた瞬間男は隠そうともせず唇だけで嘲笑い、耳朶を強めに噛む。「なにこれ」「ち、が…君の、身体が―ぁ―」「私胸だけでこんなに濡れないけどなぁ…怜侍の方が胸、感じるの上手なんじゃない?」「そんなわけが、あ…ぁあ、やめ、嫌だっ…」濡れきったそこを掻き分け赤く膨らんだ場所をきゅうと摘むと彼女は泣きそうな声で腰を引く。「や、だ…やめろ、…ぃっ…」浅く一本の指は膣内を擦り、溢れ出す液体を掻き出しながら塗り込むようにそこから手を離さない。「ぁ…う、ぐっ…、ぁ、嫌だ、ぁ、」「こうされるの、嫌?」「嫌…だ、いやだっ…」「…どうして?」欲に濡れて掠れた声のまま男は女の耳を舌で突く。「嫌、だ…変、なんだ…そこ、は」「変って」ずぷ、と鈍い音を立てて男の人差し指が奥まで簡単に呑まれていくと彼女は悲鳴にも近い声を漏らした。「うぁ、あ…知らない、っこんな…ぁあ、知らないんだ、…やめろ、気持ち悪いっ…」「…にしてはさ、すごいけど…べとべとしてる」男はにわかに頬を紅潮させ、苦しげに溜まった息を吐く。――彼も彼で、相手を抱いている間ただ身体に溜まっていくだけの昂奮の扱いにはそこまで長けていなかった。女同士ならば適当に盛り上がったところで自分も楽しみにかかることができるのに―男はただ、度し難く溜まり続けるだけの熱を抱え込んでいなくてはならない。元来堪え性というものから縁遠い彼は欲に濡れて潤んだ瞳を隠そうともせず彼女を見る。その様子に彼女は悟る――『彼女』が言っていた意味を。自分を抱いているのは自分の身体をした『彼女』なのだということに。「ぁ、…」とろりと女は自分がまるで受け入れがたい未知の快楽の先端を飲み込み始めたことに、気づく。


「ふ、ぅ、んんっ…」指が蕩けきった中にもう一本追加されても空いていた場所が埋められた心地良さしか生まれない。「あ…っ、く…おなまえ…」心地良いが中でそれらを動かされ、膨れた関節が巧みに壁の一部分を擦る度にびくびくと一つずつ高いところに押し上げられていくような、感覚に彼女は呻く。一番高いところまで押し上げられたら、どうなるのか――わかっているが、わからない。男であった矜持も今は遠く、ただやり過ごすことだけに集中するしかない。「あ、ぁあ、嫌だ、や、め、やめ―ぇ―うぁ、ッ――」女はぎゅうと必死に目を閉じたが涙は反射で睫毛の合間から零れ、突き抜けるように押し上げられ消えてくれる射精の感覚とは違う波のように引ききるまでいつまでも帰ってくれない長い長い絶頂感に足を開いたまま浸っているしかない。「…怜、侍」男がただ、彼女の上に完全に跨る。荒い息を隠さず、震える彼女の頬に手をかければ彼女は何度も瞬きをしようやく戻ってきた、とでも言いたげにそっと男の目を見た。おそらく何かを訴えようと。――足を抱きかかえ、男がゆっくりと自分の腰を引き寄せていく―「あ、あぁああ…っ…」「っう…れ、いじ」奥に奥にとぐりぐり押し込むように男が腰を使うと女が泣き叫んで身を引く。「や、めろ、ぅあぁ…はい、らないっ…そんなに、っぁ」「ぁ――い、つも、いれるじゃん、奥まで、んん…」男は苦しげに瞼を伏せ、加減なく奥まで貫いてしまおうと腰を掴む―「ば、かいうな、私は、もっと、ぁあ、丁寧にやるっ…では、ないか、」「こんなもん、だよぉ、あ、むり、もぉっ…」「ま、て、まだ動くっ…な、あ、ああぁあっ」滑らかに曲線を描く腰をがっしりと掴んだまま男が突き入れると泣くように女が喘ぐ。「…、は、怜侍、っ…わ、たし、もう…も、っ」奥をこじ開けられるような感覚に彼女は泣き、男はそのか細い喉を噛みながら片足を抱えて押し付ける―「、ん、っ…」熱く滾りきっていた興奮はようやく多少沈静化して零れ落ちていったように、彼は思う。ようやく一つだけ。



「……っは、ぁ、はあ、満足したか、さっさと抜け…」



涙の痕がくっきりと残った、先程よりはだいぶ威厳の抜け落ちた顔で息を荒げて彼女は呟くが男は汗ばみながらも涼やかに笑い、引きかけた腰をもう一度戻していく。「っ…?!な、あ、やめっ…やめろ、なぜ」「…だって。出て来ちゃうんだもん、怜侍の精液」「なに、言って、ぁ…あっ、う」「せっかく中で出したのに…それにね」ぢゅる、と耳元に溜まった唾液を男は吸い上げる。「まだ足りないってさ?」「―――っ!!」女の顔が真っ赤に染まる。男は息を乱しながら、笑う。「すごい、ね…いつもこんなの我慢しながらやってるの?ほんと辛抱強い、ね…」「あ、やめ、言うな、ぁっ」「あんなに出すとき気持ちよくて、しかも…こんなにいっぱいやりたがってるのを抑えながらなんて、信じらんない…信じらんない、厭らしい」「き、みに、言われたく、ないっ、こんな…こんなものを、毎回、なんて、気が狂う…あぁああ、あ、ひっ、ぃっ…」ふふ、と男は声を出して笑い慈しむように女の頬を舐めた。「…それ。怜侍の、せい、だから…ね?大変なんだ、よ、もうっ…」「あ、ぁ、そんな――ん―ぁあ、うっ…も、うぁ、いや、だ―もうやめ、っっ…!」「んん、んっ…出ちゃ、ぁ…」びくびくと彼女の身体が何度も跳ね、連動するように男が腰を押し付ける。甘い悲鳴が何度も途切れ途切れに上がったあとようやく荒い呼吸が重なり、何度か唇ごと無理矢理途切れ、飲み込みあうようにして再び息をしあっていく音だけが部屋の中を滑り落ちていく。




「まあお約束ですけどそんなことやってたら戻ったねすごくよかった」「そうだな」「………で、あの、私の身体まだ手錠ついてるんだけど、これ、その」「何か問題が?」「えっ」「……先程まではまったく君が楽しそうだったようで何よりだ――私も是非体験してみたいと思ったのでな、付き合ってくれたまえ」「な、えっちょ、絶対もう無理だって…や、嫌ああああああああ」


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