Shin's Birthday 02

数日後、港での買い出しを終えて、シリウス号は出港する。
俺の誕生日まで、あと1週間を切った。

最近、○○は厨房にこもっている。
ナギより休憩を取らないところをみると、トワに作ったケーキのように何か用意でもしてくれているのか。
そう考えると仄かに胸が温かくなる気がした。

甲板に出て、煙草に火をつける。
フーッと煙を吐き出した俺の隣に、ナギが来ていた。

「…もうすぐだな」
誕生日のことを言っているのだろう、「あぁ」と頷いて返す。
「お前の最高の飯、楽しみにしてるぞ」
そう言った俺に、ナギは珍しく微笑んで返した。
「…今年の宴のお前の飯は、○○が作ってくれる」
「なんだそれ、ちゃんと食えるものなんだろうな」
ナギの飯は間違いなく素人の域を超えているから安心して宴を楽しめる筈なのに、○○が作るとなると不安を隠せない。
そんな俺に気づいたのだろう。
「大丈夫だ、監修は俺だし、アイツも筋がいい」
そう言ってナギは再び厨房へと消えていった。

アイツが、俺の飯を…ねぇ。
まだ多少不安はあったものの、今も厨房で頑張っているであろう○○の姿を想像すると不思議と顔が緩む自分がいた。

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