あなたがいるだけで。


キドが雷怖い設定です。
無理な方は回れ右でお願いします。












真夜中、強い雨音と激しい風の音でキドは目が覚めた。
時計を見ると、午前2時を過ぎている。
まだ真夜中。
窓の外も部屋も暗闇に包まれている。
キドは無意識に自分のシャツの袖を握っていた。

…寝よう。

再び、布団に身を埋める。
夜は嫌いだ。
だけど、夜の雨はもっと嫌い。
昔の…、嫌な事を思い出してしまうから。
布団の中で猫のように丸くなる。
その瞬間、一瞬光ったと同時にドンッという大きな音がした。

「っ…!!」

雷だ…。

音が鳴る度に反射的に肩が跳ねる。
次第に目頭が熱くなっていく。







誰か…。








怖い…。








寂しい…。








「…だれかっ…」

−トントン

いきなりドアがノックされ、一瞬息が止まる。
こんな時間に誰なんだ。
このような姿、団員に見られたりしたら…。

「キド…?」

その声は、今、一番求めていたもので。
ドアが開いた音を聞いて、布団からそっと顔を出す。

「キド、起きてるの?」

大丈夫?と聞きながら近付いてくる彼に、キドは飛びつくように抱きついた。

「うぉっ!」
「カノっ…」

優しく抱きしめてくれる彼の腕の中はすごく暖かくて、キドの不安な気持ちを落ち着かせるのには十分だった。

「大丈夫だよ。僕がいるから」

キドは彼の胸板に額を押し付けながら小さく頷く。

「落ち着いた?」

カノはキドを少し離し、彼女の頬に流れる涙を優しく拭う。
そして、頭を優しく撫でる。

「カノ…」
「ん?」
「あの…一緒に、いて…。今夜だけ…」

そう、キドが小さな声で言うとカノは少し驚いたように一瞬目を丸くしたが、すぐに笑った。

「うん、一緒にいてあげる」

二人は一緒に布団の中に入った。
カノがおいでと言うと、キドは大人しく彼に近付き、腕の中におさまる。
彼の温もりに安心したのか、眠たそうにあくびを一つ。

「今夜だけじゃなくて、ずっと傍にいるよ」

頭を撫でながら優しく囁く。



セトやシンタロー君じゃなくて…。



「僕が…、僕が傍にいるから…」

顔を覗くと、いつの間にかキドは寝息をたてていた。
そんな彼女の寝顔は、すごく安心したような顔をしていて、優しくて、きれいで。
カノは額に触れるだけのキスをした。

「おやすみ、キド」



朝まで、君が何にも邪魔されることなく、良い夢が見れますように…。








あとがき
キドさんが雷が怖い設定です。
ぐだってる…(;´Д`)
もっと頑張ります(´・ω・`)

次はセトマリの予定です!

2013/07/09 桜音

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