寒い夜。
お前と二人きり。
……触れたい。



*

「おい」
「ん?ゾロかー。どしたの?」
「何でお前、外に居るんだよ」


夏の夜でもまだ寒いっていうのに。
こいつは外に居やがった。
それが妙に気になって、マストに座り込んでるセーラに会いにきた。


「んー気分?」
「お前な……風邪引くぞ」
「大丈夫よ。チョッパーが居るじゃない」
「そういう問題じゃねえだろ」


全く、どこまで本気なのか分かんねェな、ほんと。


「あはは、冗談。ちょっと星を見てたんだよ」
「……星?」
「うん。ほら、綺麗だよ」


セーラが指差した真っ暗な空を見る。
そこには無数に輝く小さな星。
チラ、とセーラの顔を見てみると子供みたいに無邪気な顔をしていた。


「………」
「あれ、ゾロどうしたの」


黙ってセーラの隣に座ると、セーラは空から目を逸らし俺を見た。


「俺も付き合ってやるよ」
「何それ。頼んでないのにー」
「うるせェ」


素直じゃないね、とセーラは呟いて再び空へと向き直す。
俺も壁にもたれ、空を眺めていた。


「ねぇ、ゾロ」
「ん?」
「風が気持ちいーね」


何言ってやがる。
この冬並の寒さなのに。
俺はたまにお前の感覚を疑うぜ。


「俺は寒い」
「そう?あはは、寒さには弱いんだねーゾロも」
「普通だろ」
「んじゃあ、私があっためてあげるよ」


そう言ってセーラは俺との距離を縮め、肩に頭を乗せる。
……って、それで温めてるつもりか。


「寒ィよ」
「もー贅沢だなぁ。じゃあチョッパーでも抱いてたら?あったかいよ」


……そこでチョッパーかよ。
しかしこいつ……俺がチョッパーを抱いてるところを想像してんのか知らねェが、笑ってやがる。


「………あっ、」


そんなセーラを抱き上げて、俺の足の間に持ってくる。
そして後ろから抱き締める形にした。


「ちょ、ゾロ…?」
「寒ィんだよ。文句あっか」
「…もう、強引なんだから」


抱き締めている俺の腕に頬を寄せ、手を触れ、体温が届く。
それを愛しいと思う俺が居る。

星空に照らされ、ずっとこのままで良いと思う俺が居る。





寒さを理由に君に触れる
(でもゾロ、このまま寝ないでよ)(………zzZ)(って遅かった!)