この子と貴方は違うのよ。
何が、って?
それは…………、



*

「あ、子猫見っけ!」
「猫?」


ルフィと街を散歩していると、人気の無い路地に子猫が飛び込んでいくのが見えた。
私は動物が好きなので、すぐに追いかける。
そんな私をルフィもまた追いかけた。


「おーちいせェー!」
「だから言ったじゃない。子猫って」


近づいたら逃げられるかもって思ったけど、意外と逃げずにその場に居た。
人間には慣れているのかな?
私はしゃがんで、子猫を拾い上げる。


「きゃー可愛い!」
「俺にも触らせろ!」
「ん、いいよー」


ルフィが両手を差し出したので、ゆっくりとその手に子猫を渡す。


「うひょー!あったけェな!」
「そりゃあ動物だもの」
「うおっな、なんだ?」


大事に抱えているルフィだけど、何故か子猫は私の方に来ようとしている。
ルフィは思わず手を離してしまい、子猫は私の元に戻ってきた。


「ふふ、私の方が好きみたい」
「ちぇー」


私は少し嬉しくなって子猫をぎゅーっと抱き締める。
それを見てルフィはむぅ、という顔をした。


「なーセーラー行こうぜー」
「ん、もうちょっとー」


なんだか凄い懐かれてしまった。
喉をゴロゴロと鳴らしているのが可愛くて、つい手離せなくなってしまった。


「あははっ!くすぐったいよ〜」


ついには頭をこすりつけてきたり、顔をペロペロと舐めてきた。
私はくすぐったくて顔を逸らすけど、それでも子猫は舐めるのを止めてくれない。


「もー、やめてよー」


とか言いながら、可愛くて微笑んでしまう。


「おい、セーラ」


あ……。
今、ちょっとだけルフィの事忘れてた。
怒ってるかな……?


ちら、とルフィを見てみると、ルフィは首を傾げていた。


「なんで猫だと喜ぶのに、俺だと静かになるんだ?」


思考停止。
てっきり拗ねられると思っていた私は、思いもよらない言葉に目を丸くする。
え、ちょっとどういう意味……?


「だってよー、俺がセーラのこと舐めると、セーラ大人しくなるじゃん」
「………っ」


な、何をいきなり……。


「だ、だって……違うじゃない」
「ふうん。何が?」


ルフィが私に近づいて、子猫を取り上げる。
そしてゆっくりと地面に置いた。
子猫はにゃーにゃーと鳴いているけど、今はそっちに構っていられない。
いつのまにか、ルフィの顔が目の前にきていた。


「そ、の……ルフィと、子猫じゃあ……」


真っ直ぐな視線を見ていることができなくて、顔を逸らしてしまう。
すると、首筋にルフィが顔を埋めた。


「っ!」


そして、舐めてきた。
恥ずかしくて、全身に鳥肌が立つ。
ルフィは私の後ろの壁に手をついて私を逃さない。
いくらここが路地裏だからって、人の声は聞こえてきてそれがまた羞恥を煽る。


「や、やめっ……」
「んー?くすぐったくねェの?」


喋りながらも、ルフィの舌は私の鎖骨に触れた。
私はルフィの服をぎゅっと握る。


「は……ずかしい……」
「こうやって舐められんの、好きだろ?」
「っだから……」


子猫とルフィじゃ全然違うの。
全然……好き≠フ意味が違う。
こうやって急に迫ってくるのも、
今すぐ引き剥がしたいのに、できないのも、


「ルフィ………愛してる、」


私が貴方を愛しているからだよ。
愛情≠フ深さが違うの。

私はたまらなくなって、口に出してしまった。
ルフィは予想外だったのか、舐めるのを止めて再び私の顔を見た。


「ししっ、俺もあいしてる!」
「もう……意味、知らないくせに」
「それくらい知ってる!」


そう言って、私に唇を重ねてきた。
突然のことに少し驚いたが、すぐに私も目を閉じて返した。
すぐ近くで子猫が鳴いているのが聞こえる。

ごめんね。
今は、こっちを構ってあげなくちゃ。





好きと好きの違い
(愛があるから、恥ずかしくなっちゃうのよ)



なんだか子猫と戯れているときに思いつきました←
ついでに黒いルフィも好きです。でも書くのはなかなか……難しいですね。
元が純粋だから…キャラ崩壊しないように、と。
まぁ、私はキャラぶっ壊れ上等!派なんですけど。
そこはちょっと自重をして、仕上げました。
一応ルフィは猫に嫉妬してるんですよ。嫉妬万歳\(^0^)/