この想いはね、内緒なの。
貴方に決して気付かれない、この恋心。



*

「うふふー」
「セーラ……なんか怖い」
「怖いとは失礼な」


乙女が密かな想いを募らせてるっていうのに。
そしてそれがふとした微笑に出てしまっただけなのに。
怖いって……。


「さっきから何考えてるの?」
「えへへ、知りたい?」
「ううん」
「あっさりと否定したね」


ベポ……最近貴方の受け答えが厳しいよ。
きっとキャプテンに似たのね。


「………なに?」
「いや……なんか、うん」


理由もなくベポの頭を撫でた。
いや、本当は少し可哀想だとか思ったけどさ。
うーん、もふもふしてる。


「ベポは白いね〜」
「そりゃあ……白クマだし」
「まぁそうなんだけどね」


少し羨ましくなる。
私もこんな風に美白にならないかなぁ。


「あ、キャプテン」
「っ!?!?」


ベポの唐突な言葉に私は声にならない叫びをあげる。


「……なんだ、その変なものを見たような顔は」
「いや……何でもアリマセン」


あまりの驚きに片言になってしまった……。
いやでも、急に現れる方が悪いよ!


「じゃなくて、おかえり。ロー」
「ああ。で、お前は何してたんだ?」
「へ?いや、何も……」
「何か一人で笑ってたよ」
「何言ってんのよベポ!」


一人で笑ってたなんて!
私はそんな変人みたいなことしてないわよ!


「まぁ、そんなことはいつものことだ」
「認めてる!?」


そんなっ……!
ローの中での私って一体……。


「おーいベポ、ちょっと来てくれー」
「あ、うん」


おっと、ここでシャチがベポを呼んだ。
ベポも返事をしてこの場を離れた。
………って、この状況……。
ローと二人きり!?


「セーラ、」
「な、何?」


やばい、緊張やばい!
心臓が裂けるううぅぅ!!


「何か楽しいことでもあったのか?」
「へ?」
「一人で笑ってたんだろ」
「あー……それは、」


誤解なんです。
楽しいことというか……いや、確かに楽しいんだけど。
それは自己満足みたいなやつで……。


「それは?」


何故か、ずい、とローは問い詰めてくる。
もしかして、気にしてるのかな?
………ちょっと調子に乗ってしまった。
それにしてもだめだよ。だめだめ。
そんなに近くに顔を寄せて……っ!


「ひ、」
「ひ?」
「人の乙女心を弄んじゃいかーん!!」


この距離、会話に耐えきれなくて私は叫んだ。
多分真っ赤になったであろう顔をローから逸らし、そのまま逃げる。
わーん、もう泣きたいよ!!

ロー大好きだ!!!

ついでに心の中で叫びました。





「弄ぶな、か……」


ローはセーラが居なくなってから呟いた。


「あいつ、俺が気付いてないとでも思ってんのか?」


どうやら、キャプテンにはお見通しみたいですよ。
はぁ、と溜息をついて椅子に座った。


「俺の気持ちの方はどうしてくれんだよ」





私だけの恋心
(って、ばればれじゃあ意味ねェよな)