「ねえ、ジャッカル、次の授業で使いたいから辞書貸して」
「……えっと……?俺、お前と同じクラスだけど」
「それくらい知ってるよ。馬鹿にしてるの?」
「じゃあなんで俺に辞書借りるんだよ!俺だって困るじゃねえか!」
「えー、ジャッカルだし大丈夫でしょ」
「俺をなんだと思ってるんだ。他のクラスの奴に借りろよ」
「………ひどい」
「え」
「私、ジャッカル以外に友達いないのに……」
「なっ……」
「唯一の友達のジャッカルまで私を見捨てるんだね……ごめんねジャッカル、今まで迷惑かけて。私、これからは一人で生きていけるように頑張るから……」
「ちょ、ちょっと待て!俺が悪かった!貸してやるから、そんなこと言うなよ…」
「ほんとに?ありがとう!」
「(あれ?さっきまで泣いてたと思ったんだけど……)」


ジャッカル桑原の辞書の行方
(利用?違うよ。愛ゆえの我儘だよ)