「はっくしゅん!……ううっ、鼻水がとまらない……」
「風邪なの?」
「はい、今朝からこじらせてしまったみたいで……」
「ふーん、そっか……」
「?」
「長太郎、ちょっとだけ待ってて」
「えっ?あ、はい」

―――数分後。

「長太郎、これあげる」
「あっ!これ……風邪薬とマスク……?」
「うん」
「先輩っ…!ありがとうございまs」
「ストップ。風邪が治るまで私に近づかないでね」
「ううっ……は、はい……(ああっ、先輩、本当に離れてっちゃった……。でも、あの淡泊な先輩がわざわざ俺のために買ってきてくれたんだ……今日は記念日として覚えておかなきゃ……!!)」

「長太郎のやつ、抱きつこうとして拒否られたのに嬉しそうだな…激ダサだぜ」
「どこまでも忠犬やな。なんや、ここまできたら尊敬するわ」
「拝むなよ、侑士。つか、あいつの彼女の不器用すぎる優しさもどうかと思うけどな」



鳳長太郎と風邪と不器用な優しさ
(ツンデレな先輩の1割未満のデレが見られただけで俺の風邪なんてすぐに吹っ飛びますよ……!)