「お願いします柳様。幸村精市の攻略本をくださいこの通りです!」
「そんなものは無い」
「殺生な!満を持して土下座までして頼んでるのに!」
「土下座をしたところで無いものは無い。そんなものがあったら俺も欲しいくらいだ」
「なっ……!ま、まさかマスターもゆっきー狙いなの!?」
「妙な事を言うな。お前の弱味や黒歴史を洗いざらい精市に告げ口するぞ」
「……そ、それは殴るぞとかの脅しよりも私にとってダメージ強いよ」
「だから言ってる。……あと、身構えておけ。3秒経ったらここに精市が来る。さらに、怒っているようだ」
「えっ」
「やあ柳に君も。こんな所で楽しそうに何を話してるんだい?」
「ゆ、ゆっきー!ほんとに来た!(そして確かに怒っている時の笑顔だ…)」
「それは俺との約束に5分遅刻するほど、大切な話なのかな?」
「………あっ!!そ、そうだ、今日はゆっきーと一緒に帰る約束してたんだった!」
「ふふふ、すっかり忘れて柳と談笑とは君は本当に面白いことをするね」
「こういう時は素直に謝った方がいいぞ。精市は嘘や言い訳などを好まない」
「ご、ごめんなさい!つい、柳くんを見かけて……ほ、本当にごめんなさい」
「そんなに怯えなくていいよ。大丈夫、もう怒っていないから。だからほら、一緒に帰ろう」
「う、うん!」

「(ふむ……赤也あたりだったらもう少し口数多く怒るはずだが。やはり彼女に対しては甘く見ているのだな。もう少し煮詰められそうだ)」



幸村精市の攻略本が欲しい
(って待てよ。ゆっきーのご機嫌をとるのに必死だったから気にしてなかったけど、柳くん十分ゆっきーについて詳しくない!?)