「聞いて驚け、謙也」
「……なんや白石、急に。朝っぱらから無駄にイケメン面を近づけんなや」
「さっきな、マイエンジェルに挨拶してん」
「マイエンジェルて……恥ずい奴っちゃな。素直に片想いの相手と言えばええやん」
「そしたら……なんと、挨拶返してもろてん」
「聞けや。そして決め顔で普通のことを言うな」
「何言うとるんや、極上の女神の微笑付きやで。そんなん俺だけに決まってるやろ。エンジェルが微笑みながら挨拶するんは!」
「女神か天使かどっちかにしろや。それに、笑顔で挨拶ならさっき俺もしたで」
「は?謙也に向けるんはウンコ見るような笑顔と一緒やアホ言うな」
「自分のエンジェルはウンコにも笑いかけるんか」
「ふっ……ウンコな謙也には言うてもわからんか。俺にはウンコと違うところがまだまだあんねん」
「ウンコウンコ連呼すんなアホ。イケメンが台無しなん気付け」
「挨拶のあとに今日はええ天気やなって話しかけたら、そうやねってまた微笑んだんや!これが俺にできてウンコにできんことや!」
「そりゃウンコが喋ったら怖いもんな。ってちゃうやん、ただの世間話やんそれ」
「何言うとんねん。俺にとったら神との対話に等しいっちゅうねん」
「神て……これ以上増やすんやめてくれ。エンジェルからどんどん格上がっとるやん」
「っちゅうことで、マイエンジェルは俺のことが好きに違いないことが今日分かった。俺はやるで!今度は帰りに『またな』って言うで!」
「(もう勝手にしてくれ……)」



白石蔵ノ介は恋をこじらせた
(挨拶しただけでこんなに舞い上がれるとは……小学生やないんやからやめてくれ。そして俺よりも金ちゃんの方が共感してくれそうやしそっち行け)