「おーい、桜花。待ったかー?」


今は昼休み。
屋上で桜花と飯食う約束してたから向かった。


「……あれ?桜花ー?」


ドアから前に進み、辺りを見渡したけど、居ない。


「おっかしーな……って、あっ!」


よく見たら、ドアの真横の壁にもたれてた。
……気付かなかった。


「……桜花ー?」


しかも、寝ている。
桜花って、授業中も寝てるって聞いてるけど、まだ眠れるんだな。
俺も人のこと言えねえけど。


「…しっかし、ほんと寝てんな…」


熟睡中だ。
うん、俺の気配に気付く様子なしだしな。


「桜花さーん、起きてくださーい。飯食いたいんだけどー」


手を口に添えて言ってみたけど、やっぱり起きない。
その代わり、うーん、と唸った。
………なんか、すげー可愛い。

こんな桜花を見ると、つい……


「うおっ、ほっぺめっちゃ柔らかっ!」


触りたくなっちまう。
それでも桜花は起きないから、余計にな。


「……ん、髪…いい匂いするなぁ…」


隣に座ってみた。
すると、すごい……シャンプーのいい香りがする。


「……ん」
「!」


カクン。
桜花の頭が俺の肩にもたれてきた。


「〜〜〜っ!」


俺は思いもよらない事に、一時パニックに陥る。
いや、可愛すぎだろ、この行為!


「(し、静まれ、俺の理性!)」


ただでさえ大切で触れることのできない桜花に。
俺の気持ちは限界だった。
好きだ、好きだ。
心が桜花に訴えている。


「……っ…ああ、もう……」


俺はドクドクいってる心臓を無視して、桜花にもたれ返した。


「ったく…、こんな無防備な姿でよ……」


俺は、桜花のぬくもりを感じながら、眠気に誘われた。
夢の中でも、桜花に会いたい。
……きっと、会えるよな?

好きだぜ、桜花。





−おまけ−


「ん……?っあ、赤也っ!?」
「あー…?ふぁ〜……目ぇ覚めたのか……?」
「な、なんで赤也が……」
「なんでって、昼飯食う約束しただろ?」
「じゃなくて!…なんで、一緒に寝てるの……?」
「桜花が寝てたから」
「起こしてよっ!」
「いーじゃん。可愛かったぜ?桜花の寝顔」
「見たの!?」
「当然。ついでに、寝言も言ってたぜ」
「えっ!?な、何て……?」
「ん?えーとな、少し赤い顔で、『赤也、大好き』だっけな」
「う、嘘っ!そんな事絶対に言ってない!!」
「はは、そう恥ずかしがんなって」
「ちーがーう!」
「まーまー。ちょっと遅れた昼飯でも食おうぜ」
「………もう」


その日は、冷めたお弁当だったけど
気持ちは、すごくあたたかかった。





二人だけのお昼休み
(寝言の事は冗談だけどさ。……俺は、そういう夢、見たぜ……?)