※旧拍手お礼夢



「お〜い、桜花〜!」


今は放課後。
俺は部活が終わったら帰る約束をしている桜花の元へ走った。
ほんとなら部活が終わったらすぐ帰りてぇんだけど、桜花は部活を見に来ない。
だから、俺が教室まで迎えに行ってる。


「桜花〜……っ」


教室に着いて、ドアを開けた。
すると、


「……すー…」


桜花が自分の席で眠っていた。


「……寝てたのか」


俺は静かに近寄る。


「……ん?」


すると、すぐ近くの窓が開いてるのに気付いた。


「……なんで窓が…」


閉めようとして、俺はあることに気付いた。
窓の外に、テニスコートが見える。


「…もしかして、ここから見てたのか?」


そういえば前に、何で練習を見に来ないのか聞いたことがあった。
その時の理由が、『周りがギャラリーばかりでうるさいし、見えないから』だった。
この窓から見たら、丁度テニスコートが上から見れる。


「……なんだ、練習、見てたんじゃん」


俺はてっきり、見てくれないのかと思ってた。


「……ん…すぅ…」


俺は、嬉しくて顔がニヤけたのが分かる。

「練習?……見に行くの面倒くさい」

なんてことを言っていたのに。


「……素直じゃねー奴」


俺は指先で桜花の頬に触れて、唇にキスを落とした。
触れるだけの、柔らかいキス。


「……ん」


唇の感触に気付いたのか、桜花が声を出す。
俺は、唇を離した。


「……あ…れ?」


目が覚めたのか、桜花は目を擦りながら起きる。


「起きたか?桜花」
「……ブン太…?もう、部活終わったの?」
「まーな」
「そっか…。じゃあ、帰ろっか」
「そうだな。…あ、桜花、今日どっか寄らねえ?」
「え…?どっかって?」
「いつものところ!」
「……私、今日はお小遣い少ないんだけど…」
「俺が奢るって!」
「え、ブン太が?…珍しいね」
「今日は機嫌がいいからなっ。ほら、行こうぜ!」
「??」


だって今日は、
君の素直じゃない愛情を感じた日。





居眠り中の出来事
(今度、窓に向かって手を振ってみよっと)