「よし、皆!これからロシアンルーレットしよ!」


一人の少女がトレイを片手に現れた。





「……いきなり、何の冗談ですか、桜花さん」
「冗談なわけないじゃないかジャントルメン!」
「流石桜花だ。全く予想外な言動をする」
「褒め言葉(?)ありがとう、柳」


今、私は機嫌がいいのよ!


「ろしあんるーれっと?何だ、それは」


………。
少し、テンションが下がった。


「えぇっ、知らないの!?」


信じられない!
真田、古風なのに!?


「ええか、真田。ロシアンルーレットというのはな、銃でバーンってやるヤツじゃよ」


その説明じゃ分かんないけど……。


「む、そんな危ないことをするのか!?」


本気にするなよ…!
見かけによらず案外単純なのね、真田って。


「んなわけないじゃん!こんなとこに銃を持ってくるわけないでしょ」


大体、私の片手にあるものには誰もツッコまないの!?


「……桜花、それは何だ?」
「よくぞ聞いてくれたジャコー」


やっぱ気付いてくれるのはあんたしかいない…!


「これはね………………ドリンクよ!」
「それは見た目で分かるぜぃ」


……ブンちゃん…!


「これは…俺たちの練習後のドリンクだな」
「桜花も含めて俺等全員の分があるのう」
「ふっふっふ……ただのドリンクじゃないのよ!このどれか一つに……不二様特性……媚薬入りドリンクがあるのよ!」
「ねぇ、今、不二って言った?」


……めっちゃ小さい声で言ったのに……。
やっぱ同族性だから対抗心が……?


「……ほう、それを使ってロシアンルーレットか……面白そうじゃの」
「賛成!桜花が飲んでくれぃ」
「俺も賛成ッス!桜花さんのいやらしい姿が見たいッス!」


いや、賛成してくれるのは嬉しいんだけど……っ!
私に当たったら私の作戦が……。


「へぇ、作戦ってなに?」


作戦……それは、この媚薬入りドリンクを飲んで乱れちゃったレギュラーの姿を写真に撮ってがっぽがっぽ儲けちゃ……う………。


「………ふうん?」
「す、すみませんっした!」


今のは見逃して下さい!


「……まぁ、いいよ。俺は当たらないしね」


……その限りない自信はどこからくるのでしょうか…。


「ま、まぁ、全員参加だからね。さぁ、とったとった!」


嫌がる人たちにも無理矢理持たせ、早速飲んでみよー!
ゴクゴクプッハー!


「…皆、飲んだ?ちなみに、即効性だから10分くらい経って効果が現れるよ!」
「桜花さんでありますよーに!」
「赤也、拝まないで」
「大丈夫、桜花だったら俺が介抱してやっから」
「その言葉すぐに忘れて」


いや、気持ちは嬉しいんだけどね!


「それじゃ、少し待とっか!」





10分後。





「……どう?誰か、効果でた……?」
「ちぇ…桜花さんじゃなかったッスね…」
「俺でもないぜぃ」
「俺になるわけないしね」
「……俺も、正常だ」
「俺もだ。異常はない」
「…俺もだ」


………違うのは、赤也、ブンちゃん、ゆっきー、真田、柳、ジャコー……。
て、ことは……?


「ん……熱……」
「「「仁王っ!?」」」


ぎゃー!
よりによって変態ニオに!
…いや、でも、被写体としては人気は高い……。


「はぁっ……俺……みたいじゃな……」


ちょっ!?
息が荒いんだけどっ!


「桜花……どうしてくれるんじゃ……」


わ、わわわ私!?私のせいなの!?
ぎゃー!ボタン外しながら近寄らないでー!


「に、仁王っ!?」
「桜花さんに近づかないで下さい!」


そう言って止めようとニオに手を伸ばす二人。
でも、ニオはその手をすり抜けて私に倒れこんできた。


「桜花……責任…とってもらうぜよ……」


む、無理です。
責任はとらないけど写真撮らせて!


「はぁ……桜花……」


ぎゃー!
ちょっ、色っぽすぎる……!


「さ、俺の家に来んしゃい……」


そう言って、ニオは立ち上がった。
私の腕をガッチリ掴んで。


「…今日は帰さんからな……」


いや、帰して下さい。
おとーさん!おかーさん!

私の心の声は届かず……。
ニオの家に強制送還されました。





「……あーあ、行っちまった」
「あれなら当たった方が良かったのかもしれないッスね」
「ふふふ……仁王…抜け駆けとは許せないな」
「……いや、当たるのも止めといた方が……」
「……そっすね」
「ほう、いいデータが取れた」
「…蓮二、びやくとは、ああいうものなのか……?」
「何だ弦一郎、知らなかったのか」
「………」
「(だからやることを許したんだな……)」


当たらなくて良かったね!
そして、今度やる時は自力で桜花に……と、幸村は考えました。





−おまけ−


「ねぇ桜花!写真撮れた?」
「あー……撮れた……には、撮れたんだけど……」
「ほんと?いくらで売ってくれる?」
「いやー……売れない」
「えー!?何でよー!」
「な……何でも……」


撮ろうと思いきや、返り討ちに遭った桜花。
相手が詐欺師だったからですね。





ロシアンルーレット立海編
(仁王写真返して〜〜!!)